二十四節季「寒露」に合わせ、こちらのページで水景園のみどころを紹介いたします。

 

====================(2023.10.8更新)

「寒露」

夜が長くなりました。 

朝夕もぐっと気温が低くなり、肌寒い日も出てきましたね。

季節の変わり目、どうぞご自愛ください。

 

さて、けいはんな記念公園では先日「観月の夕べ」を開催しました。日本の秋を満喫いただけるよう、月や古くからの文化をテーマにした催しや演出でお客様をお迎えしました。天候も懸念されましたが雲間から月が現れた時は、観月橋や水上舞台付近でシャッターチャンスを逃さないよう、写真におさめる方の姿も多数見受けられました。

夜の水景園は日中の姿とは一味も二味も違い、植物が照明演出や月の光によって、より鮮明に見えてきます。

そんなひと時をお客様と共有でき、嬉しく感じています。

 

さて、本格化した秋。

澄んだ気候のもと、植物は実りや色付きの季節を迎え、虫や鳥も次の季節に向けての準備を始めています。

今回は次の植物を水景園の見どころとして、ご紹介します。

 

■シュウカイドウ/開花場所:紅葉谷

江戸時代に日本に持ち込まれたといわれる植物で、山野の半日陰や比較的湿った場所で生育します。

水景園内では紅葉谷の池の端で見られ、夏の終わりから秋にかけて淡い花をうつむき加減に咲かせます。下記画像では見えませんが、茎の節は紅色を帯びて、分枝した葉のもとから花芽が伸びています。花後の果実には、1mlあたり数千粒もあると言われるほど、微細な種子が実ります。

冬には地上部が枯れますが、毎年新たに塊茎を作って育ちます。

池の水鏡を背景に、滝の流れや苔むした庭石のなかでひっそりと咲くシュウカイドウ。

見頃は10月中旬頃まで。

 

 

■ヨメナ/開花場所:作業庭

作業庭は、水景園内のビジターセンターと里棚田に挟まれ、水上舞台付近にある小さな庭です。公園内のしつらえ等にも使用する植物を育てている場所です。

今はフジバカマや剪定後に花を付けたキキョウ、コスモスにも似たキク科ハルシャギク科のコレオプシス、オミナエシなどが花を付け、楽しませてくれています。

そのなかでもヨメナはウハギとも呼ばれ、野原や道端でも見かける植物ですが、薄紫で楚々とした花弁は日本の原風景に似合います。キク科の植物で、夏の終わりごろから秋の終わりまで長く咲き続けます。

万葉集には〈妻もあらば摘みて食げまし沙弥の山野の上のうはぎ過ぎにけらずや〉〈春日野に煙立つ見ゆ娘子らし春野のうはぎ摘みて煮らしも〉と2首があり、春先の葉が柔らかい時期に食用にもされていたほど、古くから日本で親しまれてきた植物です。

見頃は10月下旬頃まで。

 

 

■ツバキの実/実り場所:竹林東屋周辺

ツバキといえば、冬から春にかけてが観賞の時期ですが、秋に色付く実もぜひ見ていただきたい植物です。

夏には青色の実を結び、秋が深まると画像のように熟していきます。その後は実の皮が三つに割れ、硬い褐色の種が2、3個確認できます。

食用や髪油の原料となるのが、このツバキの実です。主成分はオレイン酸。体内の悪玉コレステロール値を下げるはたらきがあり、血液をさらさらにする効能があるといわれています。

常緑の葉とのコントラストを花が咲くまでお楽しみください。

 

 

 

■ススキ/開花場所:里棚田周辺

心地よい気候を迎えると一斉に尾花を伸ばすススキ。水景園内では各所で見られ、日本の秋を演出してくれています。

ススキはそんな日本の風景の中で親しまれただけでなく、各地の暮らしでも不可欠の存在でした。

その代表が茅葺屋根の材料です。屋根に葺くカヤ(ススキ)は冬場に刈り取り、必要な数を数年かけて蓄え、約30年のスパンを経て新しくされるというサイクルがあります。旺盛な繁殖能力を持ち、あたり一面をススキ原にすることもあります。こういった事例から、ススキを屋根葺きの材料にしたことは、自然の保護と材料調達のコスト削減があったといえるでしょう。

画像は今年度の観月の夕べ1日目、9月30日にライトアップされたススキの姿。ヒガンバナも各所に開花し、皆様の撮影スポットにもなっていました!

 

 

秋の植物に関しては、水景園受付で販売している『花暦ガイドマップ(秋~冬)』、『紅葉ガイドマップ』(1冊/各100円)でご確認いただけます。

澄んだ空気のなか、これから深まるけいはんな記念公園の秋をどうぞお楽しみください。

※公園内での植物採集は禁止されています。

※落ちている枝・葉、これからの季節でしたら「どんぐりの実」などの持ち帰りは構いません。

 


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