「雨水」~「啓蟄」にかけてのこちらのページで水景園のみどころを紹介します。
————————————————-(2024.3.4更新)
2024年も2カ月が過ぎ、3月に入りました。公園のウメの見頃は2月中旬~3月上旬で、3月を過ぎるとウメから早春の花々へとのバトンタッチが始まります。ウメは品種により咲く時期がまちまちで、遅めに咲いた白梅や実梅たちはまだ残っていますが、続いて足元の小さな野草たちも可憐な花を咲かせ始めています。
あと1週間もすれば、アセビやミツバツツジ、トサミズキ等の花木がほころび始め、その後はいよいよ桜のシーズンに突入です。春の足音は確実に近づいてきています。
●早春の草花たち
公園の「里棚田」エリアは文字通り、田んぼや畑、果樹園の風景が広がる「里」の風景を再現したエリアです。このエリアでは、風景に溶けこむよう管理された畦や園路端を彩る草花たちも観察できます(写真は春~初夏の風景)
早春はそんな草花たちの見頃のひとつでもあります。
今見られるお花をご紹介します。
★ナノハナ畑とピンクの草花たち
畑のエリアで今が盛りと咲いているのがナノハナ(アブラナ)です。中国原産で弥生時代に日本に渡り、以後作物として、またその花は日本の春の風物詩のひとつとして、私たちの日常に溶け込んでいます。作物として本格的に栽培され始めたのは江戸時代頃からですが、採れる菜種油は明治に石油ランプが登場するまで、燃料として広く使われていました。
「いちめんのなのはな」で始まる山村暮鳥の有名な詩がありますが、かつては各地の農村で「いちめんのなのはな」が見られていたかもしれません。
そして、その足元にかわいらしくピンク色を添えているのはこちらの2種、ホトケノザとヒメオドリコソウです。
左の方が、葉の形が仏様の台座(蓮座)に見えることから名付けられたホトケノザ。確かに、特徴的な形をしています。
そしてよく似たヒメオドリコソウ。オドリコソウの仲間は、花が笠をかぶって踊る人に似ている事から名付けられています。雰囲気が似ているのは同じグループの近い仲間(シソ科オドリコソウ属)だからですが、葉の形や質感はよく見ると明確に違います。
比較的つるっとしたホトケノザに対し、ヒメオドリコソウは厚みも毛の質感も感じられます。また、葉の先は少し赤みがかっています。
双方とも、唇状花と呼ばれるシソ科の特徴的な花を咲かせます。上唇と下唇に分かれたような形で、この2種の場合、下唇に乗った昆虫(主にハチの仲間)が蜜を吸おうとすると、その背中に上唇が触れ、仕込まれた花粉がその背中に付く構造になっています。
私達が見て美しい、面白いと思う植物の形は、自身の生殖に関わる昆虫などの送粉者と密接に関わっています。その必然にはいつも、新鮮な驚きと納得とを感じます。
★オオイヌノフグリ
黄色やピンクなど暖色が多い春の草花の中で、ひときわ目立つブルーの花色。オオイヌノフグリです。こちらも里棚田で多く観察できます。お天気の良い日中に咲くので曇りや雨の日には閉じてしまいますが、晴れた日中は目の覚めるようなブルーが楽しめます。田畑でよく見るおなじみの植物ですが、身近なだけに、このお花に春を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらも里棚田や山棚田で咲き始めています。
今回や野草をメインにご紹介しました。これからが春本番、ひと雨ごとに暖かくなりお花の種類も増えて来ます。春を見つけに、是非公園に遊びにおいでくださいね。