二十四節気「処暑」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。

——————————————–2022.8.23.処暑

「暑さを処す」と書く処暑、「処す」には「物事を終わらせる」という意味があり、暑さが和らぐ頃とされています。朝晩の気温が下がり、夜は虫の音も聴こえてきます。水景園内でも、秋の草花たちが少しずつ咲き始め、季節の移り変わりを感じられることと思います。

★田んぼの様子

田んぼや畑、生きものなどに触れ合う農業体験講座「つちのこ隊」で、先日かかし作りを行いました。お顔も個性も違う3体のかかしが完成し、田んぼを守ってくれています。イネは、夏の暑い時期の昼間にだけ花を咲かせます。(→イネの花の記事はこちら)実りの時期まであとひと息。田んぼの畔豆(ダイズ)も元気に育っています。畔に豆を植えるのは、収穫への期待のほか、豆が根を張ることで畔の土を固めてくれるメリットもあります。これから変化の多い、田んぼの風景をお楽しみくださいね。

★ナツズイセン

その田んぼの畔に咲き、今、ひときわ目を惹いているのがこのナツズイセン。ヒガンバナ(リコリス)の仲間で、ピンクの大輪花が特徴です。この仲間は葉が後から出てくるので、花の存在感がより強調されるように思います。ヒガンバナより少し前、晩夏の時期のお花です。夏の終わりにこの花が、続けてヒガンバナが咲き、里山の景色を鮮やかに彩ります。

気の早いヒガンバナが数輪、咲き始めていました。果樹園~山棚田のラインにはオレンジ色のキツネノカミソリも。これから、リコリスの季節です。

★オオバギボウシ

里棚田から続く山棚田のエリア。ここに大きなオオバギボウシの株があります。山野の草地、林内に生える多年草で、大ぶりの葉と花が目を惹きます。ギボウシは園芸種のバリエーションも多い植物ですが、こちらは葉も花も見ごたえがある種類です。大きくても白いすっとした花姿は、どこか涼し気な印象です。

★ホトトギス

こちらも山棚田、そして紅葉谷、作業庭(里棚田)に株があります。花色はえんじ~紫色、花弁に斑点があるのが特徴。楚々としたその風情は山野や日本庭園にもよく合います。秋を代表する和花のひとつで、晩夏、この花が咲くと暑さのピークが過ぎたことを実感できます。花の斑点が、鳥のホトトギスの胸の模様に似ている事が名前の由来とされています。

◎その他の植物たち

★ノカンゾウ

日本に自生する一重・昼咲きのヘメロカリスの仲間です。やや湿った場所を好み、紅葉谷の上部や谷あいの小川沿いに咲いています。この仲間は新芽を食べたり、蕾が生薬や食材として用いられたり(金針菜)、人の暮らしに近い植物でもあります。主に東アジアが原産地ですが、欧米で品種改良された園芸種が逆輸入もされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★シュウカイドウ

こちらの植物も水辺を好み、また自身の茎葉にも水分を含みます(パキッ、と折れる感覚です)。紅葉谷のなかで、流れに近い場所に生育しており、この季節に小さなピンク色の花を咲かせます。中国からの帰化植物で江戸時代に渡来し、以後各地で半野生化しています。中国名「秋海棠」を訓読みしたものが名前となりました。

★ヤブラン

下草として使われる事が多い多年草。常緑の細い葉が根締めなどに重宝しますが、薄紫色の花も美しいです。昨年はもう少し早く咲いていたのですが、今年は少し遅めの開花かもしれません。御堂筋のイチョウ並木の下草にもなっています。

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春は、お花たちがいっせいに早く咲いていましたが、晩夏のお花たちの一部には、いつもより花期が少し遅いものもありました。気候の変動とともに、色々な事が読みにくくなっているなぁと感じる今日この頃です。まだまだ暑さの残る頃ですが、体調管理にお気を付けて、緑を楽しみにおいでください。


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