二十四節「白露」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。

——————————————–2021.9.7 白露 

緊急事態宣言の延長により、公園閉鎖が9/30(木)までの継続となりました。引き続きお入りいただけない状態が続きますが、ご了承いただければ幸いです。

秋雨前線の停滞により、8月末頃から断続的に雨が続きました。気温は例年より低く、秋の訪れを感じさせる9月のスタートです。暦のうえでは「白露」、夜中に大気が冷え、草花に朝露が宿り始める頃とされています。引き続き閉園中ではありますが、秋の気配を少しでも感じていただければと思います。

★秋の足音

ヒガンバナが咲き始めています。

例年、関西ではお彼岸の頃に花を咲かせることが多いのですが、今年は約一ヶ月早く、何と8月末から咲き始めました。この開花の早さはおそらく、8月の低温が影響しているのだと思います。

全てが咲ききったわけではないと思いますが、こんなにも早いのはちょっと珍しいと思います。

★コムラサキ(ムラサキシキブ)

紫色の実が可愛らしいムラサキシキブ。赤実の樹木は多いのですが、紫色というのはなかなかありません。ムラサキシキブの仲間にはいくつか種類がありますが、紅葉谷に植えられているのは背丈がコンパクトな「コムラサキ」、芽ぶきの森には、3mほどの株になる「ムラサキシキブ」が生えています。学名の「Callicarpa(カリカルパ)」はラテン語で「美しい実」という意味であり、その実を美しいと感じるのは万国共通のようです。

★フジバカマとヒヨドリバナ

二つは近縁(Eupatorium/ヒヨドリバナ属)で、同じような時期に咲きます。見た目の印象も大きくは変わりませんが、葉の形に違いがあります。

フジバカマは日当たりの良い土手などを好み(自生種は減少)、公園では里棚田や作業庭で見られます。ヒヨドリバナの方は、山地などでも見られ、公園でも芽ぶきの森の林床などに咲いています。フジバカマは、乾燥させると葉の香りが良く、平安時代には匂い袋に入れる香草としても親しまれていました。クマリンという物質を含み、桜餅(塩漬けした桜の葉)のようなほのかに甘い香りがします。


※里棚田のフジバカマ

 

★ミヤギノハギ
ハギは秋の七草のひとつ。秋の七草は意外に早くから咲き始めるものも多く、このミヤギノハギもここでは夏の終わり頃から咲いています。ハギにも色々な種類があるのですが、ヤマハギなど枝が直立する種類に対し、このミヤギノハギは枝が枝垂れるのが特徴です。

昔から日本人に好まれた花であり、万葉集で詠まれた植物のトップはハギです。サクラは50首で5位、ウメが118首で2位なのに対し、ハギは実に141首もの歌に詠まれています。お花自体は小ぶりですが、たおやかな枝の風情と、枝いっぱいに花を咲かせる様子が好まれてきたのかもしれませんね。

今が見ごろの秋の植物をご紹介させていただきました。10月、皆様にお会いできることを願って…。こちらの記事で少しでも、季節のお花を楽しんでいただければ幸いです。


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