今冬は暖かい日が多いですね。
気象庁によると、今秋(9月~11月)の日本の平均気温は1898年の統計開始以降で10番目に高い値でした。
さて、それが影響しているのでしょうか、芽ぶきの森を歩いていると、この時期例年になくツツジが咲いていることに気づきました。
今回は、定まった開花期以外に花が咲く現象「返り咲き」についてのお話しです。
<言葉の意味>
先ずは言葉の意味から…、
●返り咲き
『春の花が小春日和に誘われて、時節でもないのにまた咲くこと。狂い咲き。二度咲き。《季 冬》』 出典:デジタル大辞泉
『草木の花がその時季でないのに咲くこと。多くは春咲く花が、初冬の頃小春日和が続いた時などに再び 咲くことをいう。二度咲き。狂い咲き。帰り花。《季・冬》』 出典:精選版 日本国語大辞典
とあります。
更に、
●帰り花
『11月頃の小春日和に、桜、梅、梨、躑躅などの草木が本来の季節とは異なって咲かせた花のこと。ひとがわすれた頃に咲くので「忘れ花」といった言い方もされる。「返り花」とも書き、「二度咲」「狂い咲」ともいう。』 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
これだと分かりやすいですね。
冬の季語としての紹介もありますが、こちらは和歌や連歌にはなく、俳諧に到って盛んに使われてきたそうで異なる季節に花が咲く現象は昔からよくあることであったことが窺えます。
その他に、「不時開花」という言葉もありますが、これは開花以外の落葉、鳥の渡り、虫の鳴き始めといった「生物季節現象」が本来の季節と異なる時期に起きる「不時現象」のうちの一つとしての表現です。
<園内で見かけた「返り咲き」>
開花が長引いている場合もあるかもしれず、返り咲きか否かの判断は少々難しいかもしれません。
秋から初冬にかけて園内で撮り溜めた花々を紹介していきます。
1.カキツバタ(撮影:11月中旬 / 12月中旬) ・開花時期は5~6月なので「返り咲き」と判断
2.キリシマツツジ(撮影:11月中旬 ) ・開花時期は4~5月なので「返り咲き」と判断
3.ノカンゾウ(撮影:11月中旬 ) ・開花時期は6~8月なので「返り咲き」と判断
4.ヒュウガミズキ(撮影:11月中旬 ) ・開花時期は3~4月なので「返り咲き」と判断(奥には黄色い服来たお客様)
5.ユキヤナギ(撮影:11月中旬 / 12月初旬) ・開花時期は3~5月なので「返り咲き」と判断
6.モチツツジ(撮影:11月初旬 / 12月初旬 / 12月中旬)・開花時期は4~5月なので「返り咲き」と判断
7.コバノミツバツツジ(撮影:12月初旬 / 12月中旬) ・開花時期は4~5月なので「返り咲き」と判断
8.ハクチョウゲ(撮影:12月初旬 ) ・開花時期は5~6月なので「返り咲き」と判断
9.カワラナデシコ(撮影:12月中旬) ・開花時期は5~10月ですが「返り咲き」でよいのかな?
10.ホトケノザ(撮影:12月中旬) ・開花時期は2~6月なので「返り咲き」と判断
11.ヒメジョオン(撮影:12月中旬) ・開花時期は6~10月なですが、秋の咲いたものが残っているような気がします。
12.シロツメグサ(撮影:12月中旬) ・開花時期は4~12月とした情報元もあるので「返り咲き」ではないかもしれません。
<さいごに ~「季節はずれ」も悪くない?~ >
こうしてみると、意外に種類が多いですね。
その昔、返り咲きする花を見るにつけ、海外との比較において日本の冬の明るさと暖かさを感じた文人もいたようです。
私の場合、単調色でもの寂しい冬枯れの景色(これはこれで良いのですが・・・)にあって、返り咲いた鮮やかな花色に出会えば、何か特別なものを見つけたような嬉しい気分になる反面「今頃咲いてしまって大丈夫…?」といった一種の憂いも感じます。
また、「返り咲き」には季節が外れる・ズレることでの“おもしろさ”があるようです。
これら「ズレ」を楽しむためには、春/夏/秋/冬、或いは「旬」というものが
毎年ある程度、一定の周期で訪れることが最低条件であるといえます。
いずれにせよ、開花の様子に一喜一憂する私たちの感覚は冬場においても変わらないようです。
良ければ皆さんもぜひ「返り咲き」や「不時現象」を探してみてくださいね。
⚘ ニオイタチツボスミレ(撮影:昨日) ・開花時期は3~5月なので「返り咲き」
「返り咲き」は一輪が素敵?