近畿地方も梅雨入りしました。夏に向けて暑くなる上に雨続きで湿度が高くなって不快感は増してくる季節です。
この季節にはだいたいの水田に水が入ります。田植えは地域差があるものの4~6月ごろに行われ、梅雨前には終わっていることが多いです。公園では先日、数年ぶりに一般の方に参加していただいて田植えを行いました。昔はきっと梅雨の雨続きの日々は、水田の用水としてさぞ重要だったことでしょう。
公園の田んぼは面積が小さいこともあって、すべて手植えです。大勢で並んで植えるとそれだけで春~初夏の風物詩に感じられます。
田植えの様子
横一列に並んで植えていきます
昔は田んぼが大きかろうが小さかろうが、当然ながらすべて手植えだったので、さぞ大変だったことだと思います。私の印象にすぎませんが、田んぼに関する昔話でも田植えの話が多い気がします。きっと苦労が多かったからでしょう。
今回はそんな昔話からひとつご紹介します。
※記憶に頼った記述ですので、内容は不正確ですがご容赦ください。
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昔々あるところに庄屋がおり、その庄屋の家には猫がいました。猫は昔はねずみをよくとりましたが、年老いて最近は寝てばかりいるのでした。
庄屋の家には田んぼがたくさんあったので、村中総出で三日間かけて田植えをするのがならわしでした。この三日間は村人たちは大忙しなのはもちろんのこと、庄屋の家の使用人たちも、村人たちの食事の準備などをするので大変な忙しさでした。
この年は少し手間取って、二日目にやっと半分が終わりました。「なんとか明日のうちに終わらせたいから皆の衆よろしく頼む」と庄屋は言いましたが、とても終わりそうにありませんでした。
皆が大忙しの中でも、猫はずっと寝ていました。女中の一人がそんな猫に「皆忙しくて猫の手も借りたいくらいなのに、お前は寝てばかりいて」と文句を言っていきました。
三日目、朝早くから田植えが始まりました。皆並んで田植えをしていきますが、なかなかはかどりません。
そんな時、どこからか見たことのない三人の若い娘が現れ、一人が田植えを、二人は鐘と太鼓でお囃子をしました。
そのお囃子につられて、村人たちの手もはかどりました。
田植えは夜通し続き、4日目の明け方には、すべての田んぼに稲を植え終えることができました。3人の娘は田植えの後片付けをしているうちにどこかへ行ってしまいました。
庄屋の家に戻って振る舞いをうけながら村人と庄屋は不思議な3人の娘の話をしました。
女中さんはそんな話を耳にしながら、お給仕をしていました。
廊下には、いつも通り猫が寝ていました。
ふと横をみると、他に猫が2匹寝ていて、その周りには田んぼの泥で猫の足痕がついていました。
「田んぼ…猫が3匹…娘が3人…。まさか…」
猫が仲間を集めて、娘に化けて田植えを手伝ったのでしょう。
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猫は狐や狸の次くらいに化ける話がでてくる動物です。化け猫の話はだいたい恐ろしいお話ですが、この猫たちは世話になっている家の手伝いをするという見上げた猫でした。
公園の田んぼは地域の皆様に手伝っていただいて滞りなく田植えが終わりました。人以外の手は借りずともすみそうです。
田植えを見守るカエル
見てるだけです