今年は12/22が冬至です。一年でこの日が一番夜が長いことになります。この日を境に日照時間=お昼間の時間が少しずつ長くなり、これからどんどん寒くなっていくにもかかわらず、太陽の動きは春へと向かうということなんですね。今回は、冬至にまつわる色んなお話をとりまとめてご紹介したいと思います。

昼と夜の長さは太陽の南中高度(一番高い位置=お昼に真上に昇ったタイミングの角度)による、ということは習いましたが、大人になってから色んな情報が繋がって、なるほどと思うことがたくさんあります。
図の赤い矢印が夏の太陽の動きを地表にいる人から見たもの、水色が冬の太陽です。
南中高度は★マークの点線上の太陽と地表の角度で、夏の太陽は高く上ることが分かります。直角ではなく傾いているのは黒のラインの「地軸の傾き」から来ています。この傾きが、季節によって日照時間が違ったり太陽との角度が違ったり、もっというと四季があったりということにつながっています。

これを太陽と地球の位置関係で見つつ、二十四節気にあてはめると以下のような動きとなります。
今ちょうど「冬至」に地球があって、夜が最も長くなる位置関係ということです。
ではどのくらい、日照時間が夏至と冬至でちがうのかというと、関西(大阪データ)では
夏至:日の出4:45 日の入り19:15 南中高度78.8度 昼の長さ14時間29分
冬至:日の出7:01 日の入り16:51 南中高度31.9度 昼の長さ9時間50分
だそうです。太陽は夏至の半分くらいの高さまでしか上がりませんし、昼間の長さも夏の4時間半以上短い、ということになります。
時々、窓辺からの光りが冬場はお部屋の奥まで届くな、と感じたことはありませんか。これも太陽の角度が低いからですよね。

そして冬至はお天気に恵まれると、長く星空が見られる日でもあります。
冬至の前後の星空は…と思いながら天文サイトを見ていると、冬至の頃は東に位置する札幌よりも京都のほうが早く日が昇るという記事が出てきました。そして夏至には京都のほうが先に日が沈みます。これは日の出・日の入が東西の経度だけでなく地軸の傾きに大きく影響されている、ということです。冬は太陽が南半球側を照らすので、同じ経度で比べると北へ行くほど日の出が遅いくなり、夏は北半球側に太陽があるため南にいくほど日の入りが早いということになります。経緯と緯度の複合的な現象ですが、こちらの国立天文台のページ(リンクへ移動します)で分かりやすい図が示されていました。
また、冬は高緯度の地域は極端に昼の時間が短く、北緯66度33分以北の地域では冬至前後に1日中太陽が昇らない「極夜(きょくや)」という現象も起こります。北欧ではこの時期に「ユール」という祝祭を行うそうです。太陽が昇らない期間に「ユール・ログ」といわれる木の幹を燃やし、太陽の復活を祝う儀式を行ったていたことが、後々キリスト教と結びつきクリスマスの祝祭になったとか。木の幹を模したクリスマスケーキの「ブッシュ・ド・ノエル」もこれに由来するそうです。冬至とクリスマスは意外なところで関係があるようですね。

日本や中国では極夜にはなりませんが、太陽が最も弱まった冬至を境に「太陽の出る昼間がこれから長くなる」ということから太陽が生まれ変わる、季節が折り返す、とされます。陰が再び陽に転ずる日という意味で「一陽来復(いちようらいふく)」といって、冬至を境に運が向いてくるとされ、運気が上がってくるそうですよ。ちょっと期待したくなりますね。

日本の冬至・夏至は、五節句のように盛大な行事や祭事は行いませんが、季節の節目として、また体感的にどんどん寒さが増し冬本番に向かう、心身の負担が大きくなる時期ということで、静かに冬を迎える一つの節目としての様々な風習があります。皆様よくご存じの「ゆず湯」や「冬至かぼちゃ」などです。

●ゆず湯
柚子(ゆず)=「融通」がきく
冬至=「湯治」
という語呂合わせから、冬至の日にゆず湯に入ると言われています。
もともとは、「冬至の後の運を呼び込む・厄払い」の禊(みそぎ)から来ているそうで、一陽来復のために身を清めるということのようです。
冬が旬の柚子は香りも強く、香気の強いところには邪気がおこらないという考えもありました。江戸時代の銭湯で「催し湯」のひとつでお湯に柚子を入れたのが始まりだとも言われています。端午の節句の菖蒲湯と似たような由来ですね。
また、柚子は実るまでに4年前後と長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにという願いも込められています。また、ゆず湯には血行促進・冷え性緩和・風邪予防のほか、クエン酸やビタミンCによる美肌効果や、芳香によるリラックス効果もあり、元気に冬を越すためにも効果的です。

●かぼちゃ
夏の収穫であるかぼちゃを冬に食べる、というのは栄養の観点からです。消化の良いでんぷん、ビタミン・ミネラル・カルシウム・食物繊維がとてもバランスよく摂取できるので、昔から保存がきくかぼちゃは「風邪を予防できる」食材とされてきました。また追熟することで甘くなり、冬至の頃には一層美味しくなります。また、かぼちゃは別名「なんきん」、漢字では「南瓜」と書きます。冬至は陰が陽に転ずる日、陰(北)から陽(南)へ向かうことを意味しており、冬至に最もふさわしい食べものとされてきたようです。

●「ん」のつくもの
かぼちゃ=なんきん、もそうですが、冬至には「ん」のつくものを食べるとよい、と言われています。夏至にうなぎなど「う」のつくものを食べるのと似ています。「うん」を呼び込むという説や、いろは歌の最後「ん」のように、ひとつ区切りをつけて開運を願うということのようです。

・なんきん:南京(かぼちゃ)
・れんこん:蓮根
・にんじん:人参
・ぎんなん:銀杏
・きんかん:金柑
・かんてん:寒天
・うんどん:饂飩(うどん)
いずれも「ん」が重なる、「運」が倍増すると考えられ、この7種は「冬至の七種(ななくさ。七草とも)」と呼ぶこともあります。
春の七草、秋の七草はよく聞きますが、冬至も七草なんですね。

 

今ほど食べ物が豊富ではなかった時代、人は自然と向き合って暮らしていました。太陽の恵みにより農作物が実るので、太陽の力が衰える冬期は何かと心配や不安もあったのかもしれないですね。上記のような行事により、太陽が蘇ることを祈り希望を見出すとともに、限られた食材の中や習慣に健康を維持する知恵を見つけてきたのだろうと思います。
現代の私達も「寒い寒い」だけではなく、自然の中や季節の食べ物、夜空の表情を楽しみつつ、元気に年末年始の忙しさを乗り切りたいものです。


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