皆さんは日本の昔話をどれぐらいご存知でしょうか。
テレビ、ネット、スマホ…とひまつぶしにことかかない現代では、こども達がおじいさんおばあさんから口伝のお話を聞くというような機会はほとんどなくなったと思います。
一方で、絵本やアニメのおかげで、全国的に知られる昔話もたくさんあります。私もそういう形で昔話を知りました。遠い遠い昔、異世界ともいえるほどの世界の話ですので、創作のお話しのように漠然と聞いて楽しんできました。しかしふと気が付くと、現代に残る風習や、訪れた観光地で目にしたものが昔話に登場していた、そういうことも歳を重ねると増えてきました。
この公園では昔の文化や自然とのかかわり方も大切な要素で、昔話のイメージにつながる景色などもあちこちにあります。今回は、公園の奥にある森を歩いていてふと思い出した昔話のことを、森の写真と合わせてご紹介します。なお、昔話の内容については記憶を頼りに書いていますので、間違いがあるかもしれませんがご容赦ください。
お話しの紹介の前に、公園にある森について簡単にご説明しておきます。この公園には有料区域と無料区域があり、有料区域の奥には芽ぶきの森という森があります。この森はいわゆる里山だった場所を残した森です。里山とは「人の暮らしの近くにあり、様々な形で利用されてきた森」とでも捉えていただければよいでしょうか。昔話でいうと、おじいさんが柴刈りに行く山です。
おじいさんは山へ柴刈りに…で語り始めるのは、昔話の定番のひとつです。それだけ柴刈りが日常的な作業だったということでしょう。そして、「近くの山には柴がなくなったので」とか「●●を探して」とかの理由で、「いつもより山の奥へと入っていったそうな」と続く話もたくさんあります。慣れた里山から、非日常的な奥深い山へ入る所から物語が展開します。そんなお話しのひとつ、「若返りの水」をご紹介します。
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昔々あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていました。
ある日、おじいさんは山へ柴刈りにでかけました。
柴刈り・・・
日常の煮炊きに使うために、雑木の枝を集めて回ったそうです。
ついでにおばあさんの大好きなキノコを採って帰ろうとさらに山の奥へと入っていきましたが、山を歩くうちにおじいさんは道に迷ってしまいました。
キノコ・・・
おばあさんの好きなキノコとは?
現代のお店で買うようなキノコではないでしょう。
森の奥へと・・・
里山は太い木が少なく明るい森だったそうです。
奥に進むにつれてうっそうとしてくるような雰囲気だったのでしょう。
歩き回るうち、喉が渇いてきたおじいさんは水の音にひかれて泉を見つけます。
泉?・・・
この公園の森には泉はなさそうです。
わずかに水たまりが・・・。
そしてその水を飲むとおじいさんは若返り、元気な青年になりました。おじいさんは自分の若返りに気づかず、元気が出て体が軽くなったと思って、どんどんと山を下り家に帰りつきます。
若返ったおじいさん(イメージ)・・・
すごく元気な感じになりました。
おばあさんに言われて初めて自分が若返ったと気づいたおじいさんは泉の話をして、おばあさんにも水を汲んできてあげると約束します。しかしわくわくして眠れないおばあさんは、夜明け前に山へと向かいます。
朝、おばあさんがいないことから状況を察したおじいさんはおばあさんの帰りを待ちますが、なかなかおばあさんは帰ってきません。心配になったおじいさんは泉へと向かい、赤ちゃんになったおばあさんを見つけます。うんと若返っておじいさんを驚かそうと思ったおばあさんは水を飲みすぎて赤ちゃんになってしまったのでした。
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というお話しです。
すてきな泉は残念ながら見つけられませんでした。こんな不思議な泉は人里離れた深い山、もしくは日ごろの善行がないと出会えないものかもしれません。