4月になると、公園はすっかり春の景色に移り変わります。
この頃になると、永谷池を賑わせていたカモなどの冬鳥はめっきりを数を減らし、代わりに夏鳥たちがやってきます。
夏鳥の中でも身近な鳥は、東南アジアから数千kmの距離を旅して日本へとやってくるツバメです。
長旅を終えて、日本にやってきたツバメはしばらくすると子育てのために巣作りを始めます。
ツバメの巣は泥と枯草を練って作るため、田植えに向けて田起こした畔塗りをしている田んぼは最高の材料がそろった場所です。
ツバメが田園地帯によく見られるのは、このあたりの事情も関係しているのでしょう。
公園でも里棚田周辺で泥を集めたり、永谷池の水面をかすめるように飛び、水を飲む姿がよく見られます。
嘴で泥を集め、虫を餌とするくらしぶりから、ツバメの鳴き声は「土食うて虫食うて渋~い」と聞きなされることもあります。
巣は民家の軒下などに作られることが多く、人の近くに巣を作ることでカラスなどの天敵から身を守っているともいわれます。
かつては人々もおおらかで、「ツバメが巣をかけると家が幸せになる」といったものでしたが、
最近は糞で軒先を汚してしまうため、厄介者扱いされることも少なくありません。
それでも、駅や人家でツバメの巣の下に受け皿を付けて、糞で汚れないように工夫している場所もあります。
そんな風景を見かけるとふと優しい気持ちになり、嬉しく感じます。
子育てを終えたツバメはヒナが大きくなり、次に旅立つ秋までの間にたくさん餌を食べて長旅に備えます。
大きく育ったヒナは親鳥そっくりの姿ですが、尾羽(燕尾)が短いので尾羽を観察すると若いツバメかどうかの見分けがつきます。
また、この時、夜になると集団で河川敷やヨシ原に集まり大きな「ねぐら」を作ることが知られています。
広いヨシ原がある場所があれば、夕方にたくさんのツバメが集まってくる光景を観察することができるかもしれませんね。