冬はたき火が楽しい季節。
普段は火気厳禁の公園ですが、「たき火で焼き芋を焼こう」をはじめとするたき火のイベントがいくつかあります。
直火の暖かさだけでなく、たき火を起こす面白さや自然の中で燃える炎の揺らぎ、自分たちで立ち上げたたき火で何かを加熱して食するという「調理」の楽しみ、がありますね。
一般的に動物は火を嫌うものが多いとされていますが、人間は火を扱う動物。これが他の動物との大きな違い、とも言われています。旧人と言われる古代のヒトも、最初は自然火災などで草木が燃えたことから燃焼・炎を知って、時間をかけて利用することができるようになった、ということのようです。火を楽しめるのは人間の特権ですね。
公園のたき火でもご紹介していますが、燃えるのに必要な要素は3つ。
●燃えるもの(燃焼材)・・・公園では園内の間伐材や選定枝、枯葉・枯れ枝などを使っており、たき火のために薪を購入したり、そのために樹木を切ったりはしていません。
自然を最後まで活用し、無駄な採取伐採は行わない、というのが公園らしいところです。
紙や枯葉、細かい小枝、と小さく軽いものから火を移していき、徐々に柴や枝、細い薪、そして太い薪もくべていきます。最初は燃えやすいもの、表面積が大きく、酸素を取り込んで熱を有効に回すことができるものから、そして火のもちがよい大きなものへということです。
●酸素・・・屋外ならこれに困ることはありませんね。昔、室内のストーブや調理の窯、お風呂などに薪や炭を使用していた時は、酸素をどんどん火に持って行かれるので、換気がとっても重要でした。
●熱・・・さすがに火起こしからたき火、というのは時間的にも難しいので、マッチや着火ライターも使用しています。点けた小さな炎、その熱を上手に燃焼材に移して拡大させることがコツです。
冬はよく燃えてたき火を立てやすい、というのは皆様ご存知の通りです。燃やすものも他の季節に比べて乾燥しているし、枯葉・枯れ枝が準備しやすい、ということもあります。海外ではこの乾燥のために森林火災が発生して延焼が止まらない、といった災害も発生していますね。海外の乾燥は日本の比ではなく、雨が降らない乾季が続くと落ち葉の摩擦からでも火が出ることがあるそうです。幸い、日本の山火事の大半は人為的なもの(火の不始末など)といわれていて、乾燥のシーズンだから芽ぶきの森が火事になるかも、という心配はありません。ただ、皆さんとたき火を楽しんだ後は、スタッフは入念な消火作業を行っていますよ。
では、公園のたき火を楽しめるイベントをいくつかご紹介しましょう。
◆たき火で焼き芋を焼こう
たき火イベントの代表格で、冬の風物詩でもあります。
予約制で、ご家族皆さんでたき火を囲んでさつまいもを焼いていただきます。
焼き芋というと、燃え盛る炎にさつまいもを入れる、と思われる方もあるかもしれませんが、実際はある程度燃え切って炭になったものを被せて遠赤外線で蒸し焼き、という状態で焼いていきます。これが甘く芯まで火が通るコツです。良い炭を作っていただくためにせっせと薪をくべていただき、炎を大きくしていただいています。炭ができるまでの間に、自由に持参されたマシュマロやウインナー、おにぎりを焼くことができるのも楽しみの一つです。最近は調理も火を使わないオール電化のご家庭も増えていて、火で調理することがとても貴重な体験になる場合もあるようですね。
◆森で丸鶏のローストチキンづくり
クリスマスのイベントです。公園のダッチオーブンをたき火の上に並べて、鍋の上にも炭を乗せて、丸鶏を調理します。美味しいチキンを買ってくるのもごちそうですが、自分で焼いた丸鶏をクリスマスに食べるのも格別です。チキンだけでなく、付け合わせになるお野菜も少量一緒に入れていただくので、クリスマスディナーを公園で作ることができるんです。
◆ひなっこくらぶ
3歳以下のお子さまと保護者の皆様でご参加いただく登録制のイベントで、自然の中で遊ぶ楽しさ、自然の豊かさを親子で体感いただくイベントです。
毎回たき火をするわけではありませんが、お味噌汁をたき火や薪ストーブで作ったり、焼き芋をしたり、ホイルグリルをしたりと、年によってプログラムを変えながら、屋外で火に親しんでいただく行事を盛り込んでいます。
火を扱うイベントでは、保護者様の見守りとご協力が不可欠です。何が危険でどこまで大丈夫、ということを親子で楽しみながら体感いただく機会でもあります。
また、普段屋外では自分たちで調理したものを自然を感じながら食べる機会もそう多くありません。もしかしたら、嫌いだったものが美味しく感じたりすることもあるかもしれませんね。
◆芽ぶきの森でたき火ナイト
昨年から始めたばかりですが、夜間に火を囲んでゆったり過ごしていただく企画です。
近頃、火が燃える動画をぼーっと眺めて癒される、というのもあるようですが、何もしないで眺める、それでもかまいません。小人数でも家族や友人グループでも、申込単位で一つのたき火を占有できるという贅沢なイベントです。たき火を立てていただいたら、焼いたりあぶったりして飲食いただいても構いませんし、火の周りでこの時はお酒もOKになります。お昼間にたき火をするのとはまた違った、火の美しさや燃える色の暖かさ、ゆらぎの癒しを感じていただける貴重な機会です。
◆たき火っこ広場
ゲリラ開催なので予告はしていません。開催の日にご来園の方はラッキー! というイベントです。
スタッフがたき火を立てて、お越しの皆さんは火に当たっていただき、ご希望の方はマシュマロ(公園で用意してお待ちしていますので、たき火のつもりで来られてなくても大丈夫!)を炙って食べたり、と、簡単に手軽にたき火を楽しんでいただいています。
たき火っこ広場の開催日には、水景園の入口に左の看板が出ています。見つけたらぜひ、火に当たりにきてくださいね。
昔は家の庭や空き地でたき火、という光景も普通で、たき火を珍しいとも思いませんでしたが、現代で家庭でのたき火、といいうのは環境的にもなかなか難しいのでは。火は楽しいだけでなく、安全管理や火傷の注意など、気を付けなくては危険な事故やトラブルになる場合がありますので、空き地があっても簡単にたき火ができるわけではありません。公園もたき火イベントの際は消防署に届出を行っています。
火を使う機会が減っている現代、子どもたちと火を楽しむ機会を「火育(ひいく)」と表現することがあります。火というものを知ってもらい、理解して上手に使うこと、自然体験の中で便利と危険が隣り合わせであることを実感してもらうことは、生きる力を養うことにつながる、という考え方です。
こういった一面も含めつつ、公園では園内の自然素材を活用し、自然を存分に楽しんでいただくきっかけとして様々なたき火のイベントを行っています。
予約が必要なものが多いですが、機会があればぜひ参加してみてください。