二十四節気「処暑」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。

—————————————————–(2023.8.26更新)

暑さを処す、と書く処暑は、暑さの峠を超えて少し秋の気配が感じられる頃。暦のうえでは秋の二候目で、ハギやオミナエシ、フジバカマなど秋の七草も少しずつ咲いて来ます。とはいえ、まだまだ暑さが厳しい時期です。散策の際は熱中症対策をお忘れなく。

★イネ

夏の暑い日中に咲くイネの花。毎年公園ではお盆が過ぎてから咲きますが、本日8/26(土)の日中、今が盛りと咲いていました。

イネは熱帯原産なので暑さには強い植物です。ですが出穂してからは、夜の気温が低い方が良いと言われています。夜の気温が高いとイネの呼吸量が増え、蓄えたでんぷんを消費してしまうのだとか。花が咲く時期にも意味があり、人にもイネにも朝晩が涼しいことは大事なのですね。

 

★公園のリコリスたち

リコリス、というとなじみのない方もいらっしゃると思いますが、ヒガンバナの仲間、と聞くとおわかりの方も多いのではないでしょうか。ヒガンバナの学名はLycoris radiata(カタカナで書くとリコリス・ラディアータ)、ヒガンバナ属の植物をまとめて、便宜上「リコリス」と呼ぶことがあります。元々日本を含むアジアには多くの種類があり、更に品種改良されて沢山のバリエーションがあります。

この仲間は公園にも多いのですが、この晩夏から咲き始めるのが、里棚田のナツズイセン(L. squamigera)です。


ナツズイセンは大ぶりのピンク色の花が特徴。里棚田の田んぼの畦に毎年たくさん花茎が上がってきます。遠目からでもわかりやすいので、ご質問も多い植物です。


8/26時点の様子、そろそろ終盤に差し掛かっているので、見に来られる方はお早目に…

この後、白や黄色の種類、そしてお彼岸の頃には沢山のヒガンバナが里の畦を彩ってくれます。この種類が咲き始めると目からも少し、秋を感じられる気がします。

★ノカンゾウ

こちらもオレンジの花色が特徴の多年草。谷あい、そして紅葉谷の上部に咲いています。紅葉谷では池の端に、谷あいでは小川沿いに生育しており、少し湿り気のある土地を好む事が伺えます。一日花ですが、次々に花を咲かせ花付きは良いです。また、多少の日陰でも咲いているようです。


カンゾウの仲間は若芽のほか、花弁や蕾も食用に出来ます。クセがなく食べやすい味といわれ、蕾は中華料理の食材「金針菜」として炒め物などに使われます。人の身近にある植物のひとつですね。(※公園内での植物の採取は禁止されています)

★オミナエシとフジバカマ

里棚田は、ビジターセンターを農家に見立て、田んぼ、畑、果樹園、軒先の庭、と人の生活に近いエリアの再現になっています。ここで今咲いているのがフジバカマ(左)、そしてオミナエシ(右)です。

 
どちらも秋の七草ですが、夏の終わりから咲きはじめ、また比較的花期も長いです。大ぶりの花ではありませんが、楚々とした風情が里の風景に似合う植物ですね。春の七草が食用なのに対し、秋の七草は食用や祭祀等には使われず、主に鑑賞用と言われています。

オミナエシもフジバカマもチョウが蜜を吸いにやってきますが、特にフジバカマは渡りをするチョウ、アサギマダラが好む草とされています。写真は数年前、公園のヒヨドリバナで吸蜜しているアサギマダラ。まれにしか来ませんが、運が良ければ飛来している姿が見られるかも…!?
【アサギマダラについてはこちらもCHECK!】→はっけん!こうえんのいきもの【アサギマダラ】

今年は暑く、また雨も少ない夏でした。公園の植物たちも葉を落としてしまったり、花期を迎えた花がまだ咲いてこなかったり。人にも生き物たちにも厳しい季節でしたが、ピークを少し過ぎました。涼しい日時を選んで、秋への移り変わりを楽しみにおいで下さいね。


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