二十四節気「小雪」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。
——————————————–2022.11.22小雪(更新日12/3)
節気に「雪」の文字が入り始めました。関西の平地で雪が降るのは例年、年が明けてから。雪の実感はまだ遠いですが、季節は確実に進み、紅葉谷のモミジも葉を落としました。今年は10月末から色付き始めのご案内をしましたので、約1ケ月、楽しませてくれました。
これからは森の紅葉の季節です。コナラ、タカノツメ、アオモジなど黄色く紅葉する種類が多く、黄色からオレンジ色に色付きます。水景園の借景として遠くから眺めるもよし、落ち葉を踏みしめながら森の散策を楽しむもよし。一年で一番変化の大きなこの季節の森を存分に楽しんでください。
★初冬の植物たち
寒さの走り、この時期に見られる植物たちのご紹介です。
●ノジギク2種
紅葉谷の上部にはノジギクが、里棚田内の「作業庭」にはアシズリノジギクが咲いています。晩秋から咲き続け、今が最後の時期。いわゆる野菊の種類で、本来は磯の近くの乾いた土地に生えています。ノジギクにはいくつか変種がありますが、公園にあるのは上記の2種です。楚々とした風情の野菊は日本庭園の雰囲気にも合い、彩りのひとつとなってくれています。
(左)ノジギク
(右)アシズリノジギク…全体的にノジギクより小ぶりで、葉が白毛で縁取られています。
先日、ノジギクを訪ねて来られたお客様がいらっしゃいました。よく伺ってみると「万葉集に書かれた(とされる)花の写真を撮っており、ノジギクを探している」とのこと。
父母が 殿の後方のももよ草 百代いでませ我が来るまで 生玉部足国 巻20-4326
万葉集にあるこの歌の「ももよぐさ」がノジギクという説があるそうです(ツユクサやヨモギという説も)。防人として九州へ向かう詠み人が父母の住む生家を訪ね、
私が帰るまで長生きしてください、この「ももよぐさ」のように
と、無事を祈った歌とされています。中国では、菊は仙人の住む場所に咲き、長寿をもたらすおめでたい花とされています。ノジギクは日本原産の固有種ですが、そのイメージを重ねたのかもしれませんね。
★マンリョウ2色
モミジが葉を落とした紅葉谷で、可愛らしく実を付けているのがこちらの植物。縁起物としても知られ、お正月の花材としてもよく使われます。赤実と白実があり、共に紅葉谷に植わっています。写真を並べただけでも、紅白揃った様子にはおめでたい印象がありますね。
★サザンカ
ツバキとよく似たサザンカは、ツバキに比べて少し早くから花が咲き出します。同じツバキ科のツバキ属で近縁ではありますが、大まかに花期と散り方で見分ける事が出来ます。サザンカの方が早く咲くので、晩秋に咲いているものは、ほぼサザンカです。水景園では入口すぐで生垣になっています。白花にピンクが乗る種類と、ピンクの八重咲き。どちらも寒さに負けず、長い期間咲き続けてくれます。
モミジの紅葉も終わり、冬のはじめとなりました。ぐっと冷え込んできますので、体調にを付けて散策を楽しみに来てください。