二十四節気「白露」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。

——————————————–2022.9.8.白露

白露とは、空気が冷えて露が付き始める時期。次の節気は秋分で、昼夜の長さが同じになります。夏の名残を感じながらも、そろそろ本格的な秋を迎える頃です。

★カツラの色づき
観月楼デッキのカツラが少しずつ色付いてきました。モミジなどに比べると早く、この後10月にかけて黄色く色づいていき、モミジ最盛期の11月には散ってしまいます。黄葉し、落ちた葉からはカラメルのような甘い香りがして、それも楽しみのひとつ。香りの正体は「マルトール」という成分で、お菓子の製造過程でも発生する物質です。これからの変化が楽しみな落葉樹のひとつです。

〇その他の植物たち

★コムラサキ
この実が色づく季節になりました。赤やオレンジの暖色系が多い実のなかで、ひときわ目を惹く紫色。色違いで白実もあり、両方とも紅葉谷の上部にまとまって植わっています。鳥も好きな実のようで、色付いてしばらくすると綺麗に無くなっている事もあります。本や地域によっては結実(色付き)が10~11月と記載されている事もありますが、公園は例年9月に見頃を迎えています。

★サルスベリ
夏を代表する花木のひとつ。前回の見どころで紹介すべきお花だったかもしれませんが、初秋も綺麗に咲いています。公園では「光の庭」と呼ばれる、観月楼に面したお庭に2本、植わっています。フリルを集めたような華やかな形・色をしており、遠目からも目を惹く花木。その幹もつるりとした感触で、夏の花木として人気があります。公園では、真夏というより暑さのピークを過ぎた頃~初秋までが見頃のようです。

★タラの花

この時期、森の水際で遠目からでもわかる白い花が咲いています。タラの木です。ここでは水際に生えている事が多く、対岸などからよく見えます。ひとつひとつの小さな花が沢山集まって咲くタイプのお花で、この後、秋にかけて黒い実を付けます。先駆種と呼ばれる、伐採地や荒地に真っ先に生えるタイプの植物ですが、今の森では斜面や水際など厳しい場所でたくましく咲いています。

★ワレモコウとサワヒヨドリ

里棚田、水田の脇にワレモコウが咲いています。

実はこのお花、いずれ開発され、なくなってしまう近隣の田の畔から、許可をとっていただいてきた株です。ここは人工の庭園(公園)ですが、近隣の田畑に生育している株(そしていずれなくなってしまう株)を、こうして移植する試みを行っています。中には、京都府のレッドデータブックに記載されている植物もあります。放っておけば「昔、ここにあったね」となくなってしまう景色と植物たち。「ここにあったね」を証明するために標本をつくり、論文を書き、そしてそのいくつかはこうして、公園を新たな棲みかとして根付き始めています。

「原風景」は知らないうちに失われていきます。「日本の里の風景」をテーマとしたこの公園が、景色としても、そして生物学的にも、貴重な原風景となるように。スタッフは今日も心を込めて手入れをしています。


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