立春過ぎると、公園のウメたちが咲き始めます。今日は、これからが見頃のウメのお話をしたいと思います。
日本的な風情を感じるウメですが、原産は中国。奈良時代に日本に渡ってきたとされています。学名はPrunus mume、種小名の「mume」は日本の「ウメ」の音から取られていることがわかります。
ウメは品種によって咲く時期もまちまちで、早咲きは12月に咲きはじめ、遅咲きの品種は3月にようやくほころび始めます。公園の場合、年によっても違いますが毎年おおよそ2月中旬~3月上旬辺りを見ごろとしてご案内しています。ウメの品種は約300種と言われており色も咲く時期もさまざまですが、大きく花ウメと実ウメに分かれ、花ウメは更に3系統に分けることができます。
花ウメの3系統—————————————
●野梅系
…原種に近く、花は小ぶりだが香りが良いとされる。
●緋梅系
…野梅系から分かれたもので、名前のとおり紅や緋の花がほとんど。
●豊後系
…杏との雑種であり、花や葉が大ぶり。
やや乱暴に分けると、野梅系は白、緋梅系は紅~緋色、豊後系は桃色の花が多いようです。「白梅は香りが良い」とされることがありますが、この見解は源氏物語などの古典にも見られます。株式会社花王の2010年の研究に、白梅と紅梅の香りの成分を分析したものがあり、白梅にはベンジルアセテートが多いなど、その構成要素はやはり違うものだったそう。花色や品種によってどこまで香りに差があるか、機会があれば比べてみてください。
公園では白梅・紅梅バランスよく見られるのですが、今日はその中から少し変わった品種をご紹介したいと思います。
★日月(じつげつ)梅…野梅系
ウメの品種の中には、一本の木で複数色の花が見られるものがあります。この日月梅もそんな品種のひとつです。
写真のように、一重咲きで紅白の花が咲き分けます。白、赤、それらが混じるもの。色の出方が様々なので、花をひとつずつ見る面白さがあります。こちらは、水景園の屋上棚田に木があります。
★思いのまま…野梅系
同じく、一つの花に紅白の花が咲くタイプです。こちらは八重咲の咲分け品種(日月梅と比べると、花弁が多いのが分かります)。障がい者駐車場にあります。
「思いのまま」の由来は、人や園芸家の思うように咲いてくれるという意味ではなく、ウメの方が「思いのまま」に咲き分けるという意味だそうです。どのように咲くかはわからない。人のコントロール外であることは自然の理。それを楽しめる姿勢でいられると素敵ですね。
★香雪宮粉(こうせつきゅうふん)…緋梅系
雅な名前のこのウメは、山棚田に大きな株があります。梅園で整った樹形のウメを鑑賞するのもひとつですが、山野で香しく咲くウメもまた良いものです。
果樹園を上がったところから山棚田に抜ける道に木があります。この道にはコバノミツバツツジも複数あり、早春は楽しみの多い道でもあります。
今週は、公園のウメのお話でした。これから3月にかけてが観梅の適期。おさんぽがてら、是非その姿・香りを楽しみにいらしてください。