二十四節「大雪」の更新に合わせ、こちらのページで水景園の見どころを紹介いたします。
——————————————–2021.12.7 大雪
紅葉谷のモミジもすっかり葉を落とし、公園も冬に向かい始めています。芽ぶきの森の紅葉は今が見ごろ。この時期、黄やオレンジに彩られた森は、落ち葉を踏みしめる音も気持ちよく歩けます。森の樹々が葉を落とすと、公園も冬本番を迎えます。
★常緑の魅力
落葉樹が葉を落とす季節。目についてくるのが、一年中緑を保つ常緑樹たちです。これらの深い緑の葉色は、日本では「常盤色(ときわいろ)」、欧米では「エバーグリーン」とそれぞれ名付けられています。常緑樹の変わらない緑は、「永久」や「不変」の象徴として色の名前にも反映されているのですね。
ここからは、公園で見つけやすい常緑樹をいくつかご紹介します。
★アカマツ
公園の外周や、芽ぶきの森の尾根道、水景園の入口近くなど、目にする機会の多い常緑樹です。赤みを帯びた幹と葉の緑は一年を通して美しく、存在感があります。
また、建材のほか、落ち葉や枯れ枝に火が付きやすいことから、里山では焚き付けの材料としても利用されてきました。公園でも、果樹園から上がった芽ぶきの森の尾根筋はアカマツ林になっており、定期的に手入れをしています。冬は見通しが良く、ここから観月橋・観月楼を見下ろすのもおすすめです!
★ネズ(ネズミサシ)
そのアカマツ林には、ヒノキ科の常緑樹・ネズの木があります。3年前の冬は、この木に飾りつけをしてクリスマスツリーに仕立てました。
葉は短く尖っており、触るとチクチク痛いです。昔はこの鋭さをネズミ除けに用いており、「ネズミサシ」の別名はここから来ています。この仲間には球果(実)がつきます。
近縁種であるセイヨウネズ(アメリカやヨーロッパ原産)の実は「ジュニパーベリー」と呼ばれ、ジンの香りづけに使われています。写真はネズの実ですが、セイヨウネズ同様、爽やかな香りがあります。
★ソヨゴ
芽ぶきの森内のほか、庭木として紅葉谷や屋上棚田にも植わっています。比較的葉が小さめであり、生長が遅めであること、日陰でも育つこと、赤い実がつくことから、庭木としても人気のある常緑樹です。雄株と雌株があり、実がなるのは雌株です。写真は屋上棚田、バラ園のソヨゴの実です。日陰でも育ちますが、日当たりが良いとよく実をつけるようです。
★フユイチゴ
匍匐しながら伸びるバラ科の低木。常緑の丸い葉っぱと赤い実が愛らしい、キイチゴの仲間です。夏から秋にかけ花を咲かせ、冬中実を付けます。彩りの少ない冬、鮮やかな赤い実が目を惹きますね。こちらも芽ぶきの森に自生しています。実は甘酸っぱい味がします。
今回は、冬も葉を落とさない常緑の植物を中心にご紹介しました。本格的な冬の前、黄金色と常盤色が混じり合う、山歩きの楽しい時期です。今しか楽しめない、色彩の綾を満喫しに来てください。