そろそろ、各所の「紅葉情報」が聞こえてくる頃でしょうか。
左の写真は10/30の撮影ですが、そろそろ水景園の紅葉谷も色合いが秋らしくなってきました。
日本全国、秋になると「もみじ」「紅葉」が当然のようにあちこちで見られますが、日本の紅葉の美しさは世界でも際立っていると言われているのをご存知でしょうか。
様々な樹木が世界中にありますが、色美しく紅葉してゆくのは落葉広葉樹だけです。よって「紅葉」を楽しめるのは東アジアやヨーロッパの一部、北アメリカといった、比較的限られたエリアになります。さらにその中でも、日本は落葉広葉樹の種類が他の地域に比べて豊富なのです。氷河期に日本列島には広葉樹が多種生き残ったからだそうです。その数、ざっくり欧米の約2倍の26種類ほどと言われています。
これだけ種類があると、色づくタイミングや彩りも様々で、その組み合わせが場所によって違えばさらに多様になります。各地でそれぞれの「色あい」が楽しめて、色彩豊かだということが大きな魅力です。「もみじ」がそうであるように、それぞれの樹木は年ごとの気候の違いで毎年違う色あいを見せてくれますよね。これがまた、飽きることなく毎年紅葉を楽しみたくなる理由なのだと思います。
そしてもう一つ、‟景色”による効果もあるようです。
日本の「紅葉」には日本の独特の風情を残した建造物や庭、自然のありのままの姿を残した風景がセットになっていることが多いと思いませんか。
街路樹のイチョウやポプラの並木も素敵ですが、私たちはどこか「日本らしい風景がある紅葉」に惹かれます。いにしえより自然と共に暮らしてきた日本人の意匠である建造物や庭は、自然に寄り添い自然と融和できる空気を持っています。だからこそ、それらの造形は自然風景を邪魔したり対立したりすることなく、静かに佇むことができるのでしょう。
本当に色鮮やかなこの季節、「花」は少なくとも「華」はある、と思います。
春先、たくさんの花々が咲き誇る新緑の頃に負けないくらい、木々が色づいていくこの季節は色彩豊かで
華やかなのではないでしょうか。これから寒い冬に向かうというのに、お花見の季節のように心浮き立つのは、この色あいのせいなのかな、と毎年思います。
過去のよく似た場所を撮影した写真でちょっと比較してみました。
よく似た場所を撮影しているのに、少しずつ角度や注目しているものが違うというのは「何に惹かれているか」の違いだというのが、改めて比較すると見えてきます。
そして、水景園・紅葉谷の「紅葉」にもさりげなく‟人の手”による意匠と自然の風景が混じり合い、一つの空間と景色を創っているということが分かります。そして、建造物や石組み・滝のみならず、日頃の手入れによって育成されている木々たちも自然物でありながら、実は「意匠」なんだな、とつくづく思うのです。
景色や風景を見る感覚は人それぞれ。「こうあるべき」「こうでなければ」ということもなければ
「いつが一番美しい」というのも決まっていません。
これから冬までの限られた時間に、刻々と移ろう色あいと景色を、皆様にとって絶好の色彩でお楽しみ
いただけたらと思います。
11月3日(火・祝)より、紅葉谷をライトアップして夜間特別開園いたします。
お昼とは一味違う紅葉の世界も、ぜひお楽しみください。
ライトアップの詳細はこちらをご覧ください。