二十四節気「小寒」に合わせ、こちらのページで水景園のみどころを紹介します。  

====================(2024.1.6更新)

 

明けましておめでとうございます。

本年もけいはんな記念公園をどうぞよろしくお願いいたします。

寒さが一段と増す時候となりました。 この小寒から、節分の2月3日までの期間は「寒の内」と称し、一年で最も寒さが厳しい頃とされています。

今回は水景園の正月のしつらえから、しめ縄を中心に吉祥や縁起を担ぐ縁起物をご紹介します。

 

■しめ縄

正月の飾りものというと、どんなしつらいが思い浮かぶでしょうか? 

 

この写真は、けいはんな記念公園の水景園受付前のしめ縄です。

「しめ縄」は、正月を迎えるために掃除などの準備が整ったことを神様に示すサインです。この神様は「年神様」といい、新たな年に幸福や五穀豊穣をもたらす神様といわれています。このしめ縄、現在飾っている形と子どものころ実家などで見ていた形が違うと思われる方も多くいるかもしれません。 実はこの縁起物、日本各地で造形がかなり異なっています。もちろん時代や流行の変化はあり、現在では着色した鮮やかな藁にドライフラワーを装飾したもの、新年の干支や人気のキャラクターを付けた賑やかなものまで、おめでたい気分を盛り上げるしめ縄がバラエティー豊かに店頭に並んでいます。一方で昭和の頃からの恒例で見られるものは藁をふんだんに使用しています。例えば関西地方の場合、ごぼう(ごんぼ)締めと呼ばれる、横一本に太く綯った稲藁にダイダイやウラジロを装飾したものが圧倒的に多いようですが、 京都市内では 綯った藁の部分をぐるぐると丸くしたようにし、蛇の姿のようなもの、ひとつにまとめた藁が人の頭のようにもみえるもの… そして関西以外でも、日本各地には様々なしめ縄があります。 下記では京都市内でここ数年で飾られていたしめ縄を紹介します。同じ京都市内でも実に様々なしめ縄が作られています。

 

 

日本の暮らしには欠かせなかった稲藁。食料としてだけでなく、防寒、防風から身を守る衣服、田畑の植物を纏めたり支えるための道具、そしてこのしめ縄のような年神様を迎えるための依り代。 生活に寄り添い、それを支えていた藁は、加工がしやすくかつ丈夫な素材として日本人には欠かせない存在でした。正月にしか見ることのできなしめ縄。その地域ごとの造形やおめでたい装飾を比較してみたり、かつての正月の過ごし方を振り返ることも面白いかもしれませんね。

お正月の迎え方も多様になってきた現代。 けいはんな記念公園の水景園には、日本で大切にしてきた伝統あるしつらいや植物をお楽しみいただけます。

 

 

■鏡餅・門松・餅花

鏡餅は先ほど紹介した年神様へのお供え物。その年に収穫した餅米を使用し、新年の恵みを祈りました。この鏡餅には神様の魂が宿り、それを鏡開きで食することで、一年分の生きる力をお裾分けいただくという意味があったのです。ちなみに子どもの頃に楽しみだった「お年玉」も、本来は餅が渡されていたといわれています。

 

門松も年神様が地上に降りてくる依り代(サイン)です。天に向かってまっすぐ伸びるタケやマツそしてウメを中心に吉祥の由来のある植物を立て、その常緑の生命感ある姿に不老長寿や繁栄を祈ったのです。京都で門や玄関の両脇に根付きの松を飾るのも根が張るほどの幸福や長寿祈願の表れです。

 

そして餅花は小さく玉状にした餅を付けた縁起物です。1月15日前後の小正月にヤナギやヌルデ、エノキに飾られ、関西地域や関東、そして東北などに見られる装飾で、稲の豊穣を祈願してつくられたといわれます。地域によっては「稲の花」、「粟穂稗穂/あわぼひえぼ」と称され、秋の実りを模擬的に予祝する存在でもありました。冬の花が少ない時期に小さな花や蕾のようにみえる姿から、いまでは冬の装飾として認知される場合もある餅花。この根底には、無事に穀物が育ち、収穫できることを祈ったかつての人々の暮らしや習俗があるのです。

 

それぞれの縁起物の造形や意味を再確認すると、日本の行事や文化がより素敵に映るでしょう。

今年も皆さまの笑顔が多くみられますように!


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