秋の芽ぶきの森は、実りの季節をむかえます。なかでも特に多いのがドングリの仲間です。
「ドングリ」はブナ科に属する樹木の果実(実)の総称で、堅果(けんか)の一部またはそのすべてを殻斗(かくと)に覆われることが特徴です。一般的には堅果の部分を「ドングリ」、殻斗の部分を「ぼうし」や「はかま」と呼ぶことが多いです。大きさは大小さまざまで、小さいものは直径1cmに満たないものあるツブラジイから、4cmを超えるオキナワウラジロガシまで多様です。
また、ドングリは森にくらす生き物と強い関わりを持っていて、たくさん実った大部分は栄養豊富な餌として利用されます。中でもクリは、動物に見つけてもらいやすいように、熟して落下すると甘い香りを放つことが知られています。新しい木になるはずのドングリが、動物に見つけられるような仕組みを持つことには理由があります。
カケスやリス、ネズミなどは冬に向けて様々な場所にドングリを貯蔵しますが、春までにうっかり食べ忘れてしまうことも少なくありません。その食べ忘れからドングリが芽吹き、新たな木へと育つのです。
動物だけでなく人との関りも古く、縄文時代には人々の食糧として利用されていたことが明らかになっています。大部分のドングリはタンニンという苦味(あく)を多く含んでいて、とても人には生では食べることができません。普通の動物ならばここで諦めそうですが、ヒトは「調理」という方法でこの問題を解決しました。ドングリのあく抜きには古くは流水にさらしたり、木灰と共に煮沸する方法がありますが、重曹を使ってあく抜きする方法もあります。
例外的にシイ類やクリは苦味がほとんどなく、いろいろな食品に利用されます。スダジイなどは軽く炒って塩を振って食べたり、炊き込みご飯の具材にしても美味しく頂けます。また、食感を活かしてクッキーの焼き菓子に利用されることもあります。
一口に「ドングリ」といっても、そのくらしぶりや用途、人とのつながりなどは十人十色。けいはんな記念公園でもさまざまなドングリが見られますので、観察してみてください。また、11月1日まではドングリをテーマにしたクイズラリーも開催していますので、こちらも併せてお楽しみください。