今年、近畿地方は随分早く梅雨入りしました。春ごろから季節の前倒し感がありましたので、梅雨も早々にあけて夏になってしまうのかと思いましたが、今のところちゃんと梅雨が続いています。雨続きはじっとりとするものの、この季節らしいという意味では少し安心感があります。

 

 

 

 

なかなか外に出づらくはなりますが、雨ならではの良さも。

 

 

 

 

さて、七月七日は七夕です。例年、近畿地方では梅雨真っただ中で、なかなか星空は拝めません。旧暦では、今の八月ごろだったとか。その頃には梅雨もあけ、雨が降ることもそれほど頻繁ではなかったと聞きます。織姫と彦星が一年に一度出会える日だというのに、暦の都合でなかなか会えない日に再設定されたのでは、二人はさぞ不満に思っていることでしょう。

けいはんな記念公園では、七夕飾りを入り口周辺につけたり、竹林に大きな五色の布短冊をつけたりして、七夕を楽しんでいただいています。

 

 

水景園入り口の飾り

皆様にも短冊を書いてつけていただいています。
夢がいっぱいです。

 

 

 

ついでと言っては何ですが、水景園にかかっている観月橋は庭の空間を分ける結界としての役割があります。まるで天の川。橋の東側・西側でまったく違う雰囲気の空間になっていて、その橋脚は、対岸をみせながらやや隠すというつくりになっています。両岸に立てば、隔てられた二つの世界を楽しめる…かもしれません。

 

 

 

 

橋の向こう

ぜひ両岸から写真を撮ってみてください。

 

 

 

 

七夕のお話の起源は中国だそうで、調べているといろいろな話が出てきます。今日は七夕にまつわる日本の昔話の一つをご紹介します。

※記憶に頼った記述なので間違いがあるかもしれませんがご容赦ください。

 

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むかしむかし、ある所に若い男が暮らしていました。ある日、この男が山へ行くと、泉で美しい娘たちが水浴びをしていました。近くの木にはきれいな羽衣が掛けられていました。あまりの美しさに男は一枚持ち去ってしまいます。

用事を済ませた男が帰りにまた泉のほとりを通ると、一人の娘が泣いていました。娘は、自分は天女なのだが、着物がなくなったため、天上へ帰ることができなくなったといいます。男は自分が盗んでしまったといえず、着物を隠し、帰る所がないなら家においでと娘を連れ帰ります。しばらくして、二人は夫婦になりました。

何年かして、娘がすっかり地上の暮らしに慣れたころ、娘は隠されていた羽衣を見つけます。そして娘は天上へ戻ることにしましたが、男は詫びて自分も連れて行ってくれと願います。娘は天上へ上る方法として、竹林に千足の草鞋をつくって埋めるよう男に伝え、帰っていきました。

男は娘に会いたくて、一生懸命草鞋を編みました。しかし会いたさのあまり、九百九十九足の草鞋ができたところで、竹林に埋めに行ってしまいます。埋めたところから伸びた竹は天上に向かってぐんぐんと育ちましたが、一足たりないためにわずかに届かないところで止まってしまいました。しかし、娘が手を貸して、男は天上に登ることができました。

天上には上がれたものの、娘の父親である神様は男を快く思っていません。ある時、畑の瓜を縦に割れと言われ、男はその通りにしました。すると、瓜から水があふれだし、大きな天の川となって男と娘を分かちました。流される男にむかって娘は「七日に会いましょう」と伝えますが、男はこれを七月七日と勘違いします。そして、二人は年に一度、七月七日に川を挟んで会うのでした。

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よく聞く七夕のお話は、もともと二人とも天上に暮らしていたように思いますが、このお話では天女と下界の人間という設定でした。七夕とは関係ないお話で似たような話を聞いたことがありますので、もしかしたらいくつかの昔話が混ざってできたのかもしれません。あと、記憶が正しければですが、七夕にちゃんと会えるわけではなく、川を挟んで会うというお話でした。

願い事を叶えてくれる神様のお話というより、男の人間臭さが随所に感じられ、実際の生活に近い昔話で馴染みやすい内容になっているように思います。

自分の願いのほかに、ちゃんと会えますように と願ってあげるのもいいかもしれません。


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