寒暖の差が激しい季節になりました。
梅もかなり咲いて、春の訪れを感じます。

毎冬、公園の池には水鳥が訪れます。

 

 

 

マガモ夫妻?

今年はなぜかマガモが多いです。

 

 

 

朝方、人がいない時間帯は庭園まで入ってきますので、思わぬところで出会うこともあり、お互いにびっくりします。
この距離なら捕まえられそうと思うことも。

昔は山の生き物を狩る猟師はこういった鳥も獲物にしていました。
行動にあわせていろいろな捕り方があったようです。

しかし、楽しさだけで殺生を繰り返すと…。

人の行いを戒める少し怖い昔話をご紹介します。

 

※記憶に頼った記述であり、不正確な部分があることをご了承ください。

 

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昔々土佐の清滝山の近くに暮らす若者がいました。
この若者はせっかちで臆病な気性で、そして狩り好きでした。

ウサギ猟の帰り、猟仲間の男と若者は次に何を狩るかの話をしていました。
「ウサギ猟もイノシシ猟も飽きたな」
「そういえばもう稲刈りの季節、つまりカモ伏せの時期じゃ」
「そうじゃ。清滝山のふもとにカモが来とるころじゃ。早速明日、カモ伏せに行くぞ」

若者は家に帰ると網をつくりカモ伏せの準備をしました。
カモ伏せとは、夜のうちに田んぼに行って餌を食べたカモが、明け方に入り江に帰っていく時、山があると地面近くを飛ぶので、これを網で捕まえる方法なのでした。

 

 

飛びたつカモ

この網はワナのような網なのか、手持ちの網なのか。
手持ちの網で飛ぶカモを捕まえるなんてことができたのでしょうか・・・?

 

 

 

次の日、せっかちの若者はまだ夜中のうちに起きだすと、猟仲間の家を訪ねました。
寝たばかりの男は、「お前ひとりで行け。わしはもう少し寝る」と答えます。我慢できない若者は「後からすぐ来てくれよ」と言って、先に出かけることにしました。

一人で清滝山のふもとの野原にきた若者は、朝まで待てず、持っていた鉄砲を撃ちました。
音に驚いたカモは一斉に飛び立ち、若者の方にむかって飛んできました。

若者は夢中で捕まえられるだけカモを捕まえました。

大量のカモを捕まえた若者は意気揚々と袋にカモをつめて帰ろうとすると、どこからか声が聞こえます。

「カモ・・・返せ・・・」

よく見ると清滝山の方から大きな人影がこちらへ向かってきます。

 

 

夜の芽ぶきの森 と 大きな人影

夜の森は真っ暗で怖いものです。
そんな中にうっすらと大きな赤い人影が・・・

 

 

 

そしてさらに目をこらして見ると、それは一つ目で真っ赤な化け物なのでした。
あまりの恐ろしさに若者は大慌てで逃げだしました。

すると向こうから一緒にいくはずだった男が歩いてきます。
若者はすがりつくように男に「化け物が・・・っ化け物が・・・っ」と話しかけますが、男は「早くいかんとカモ伏せに遅れるぞ。化け物の話はあとで聞くから」と行ってしまいます。
臆病な若者は一人で帰ることもできず、男についていくことにしました。

「ところで、さっきなにを見たんじゃ」と男は若者に問いました。

まだ落ち着かない若者は詰まりながらも化け物のことを話しました。

「・・・そうか。真っ赤な一つ目のおばけか。」

男はつぶやいて振り向くと、一つ目の真っ赤な姿になっており、見る間にその姿は大きくふくれ上がりました。

「あかぼうれ・・・カモ・・・返せ・・・」と言いながら化け物は若者に迫ってきます。

肝をつぶした若者はどこをどう走ったのか、気づけば夜は明けて、一緒に行くはずだった男の家の前まで帰ってきていました。

戸の前まで来たとき、戸が開いて男が出てきました。
若者は「あかぼうれ~っ!!助けてくれ~!!」と叫ぶと逃げて行ってしまいました。

男は「あかぼうれ?寝過ごしたから謝ろうと思ったのに」とつぶやきます。

それ以来、若者は猟を一切しなくなり、百姓仕事に精をだすようになりました。

そして後にこの話を聞いた村人たちは、若者の無益な殺生を戒めるために、清滝山の山神様が化け物の姿で現れたのだろうと噂し、むやみな殺生を戒めあったそうです。

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あかぼうれ とは何を意味するのか。

この記事を書くにあたって少し調べてみたものの、めぼしい情報は見つけられませんでした。

昔の夜は明かりなんてほとんどなかったでしょうが、月明かりの中、山からこちらに向かってくる一つ目の大男を見たのかと思うと、なんとも恐ろしい体験だと思います。

 

皆様もこんな目にあわないようお気をつけください。


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