<ヘビイチゴ>

●花時期:4~6月
●草丈:低い(上ではなく横に広がる)
田のあぜや道ばたなど、やや湿ったところにたくさん生えているので一度は目にしたことがあると思います。花が終わったらまっ赤なぱっと目を引く実が成ります。実際は違うのですが、中国で「蛇が食べるイチゴ」とされていたことや、蛇に食料とされる動物が食べにくるイチゴだから、といった理由で「ヘビイチゴ」というようになりました。毒があるといった話を聞かれたことがあるかもしれませんが、毒はありません。ただ、美味しくないので食用には向かないのが実情です。

5月頃になると赤い実があちこちで見られます。

ヘビイチゴと近い仲間で、ミツバツチグリなど、よく似た花を咲かせるものが公園内にもいくつかあります。

 

 

<ミツバツチグリ>

●花時期:4~5月
●草丈:低い(上ではなく横に広がる)

日当たりのよい草地や道ばたでみられ、地中には太く短い根茎があり、全体に短い毛がはえます。「三葉土栗」と書き、食べるミツバに似た葉と根茎の形がツチグリ(きのこの一種)と似ていることからこの名前が付いたようです。

5㎜前後の黄色い花は比較的集まって咲き、大きさや姿はヘビイチゴの花に似ていて、同じ「キジムシロ属」という仲間です。花の中心を見るとヘビイチゴの仲間にはすでに苺になる部分がはっきり分かりますが、ミツバツチグリには見られません。また萼*(がく)や茎葉の付き方も違うので比べてみましょう。
(*がく:花をカバーするように花びらの一番外側に付いている緑の部分)

 

 

 

<ツクバキンモンソウ>

●花時期:4~5月
●草丈:5~15㎝
日当たりの良い林のふちなど、山地に咲く多年草です。キンモンソウはニシキゴロモというよく似た種の別名で、筑波山で最初に見つかったことが筑波金紋草(ツクバキンモンソウ)の由来です。葉の表側が葉脈に沿って紫色になり、裏は全体に紫色です。葉の付け根に淡い紫色の長さ約1㎝の唇形の花が咲き、上側の花びらが極端に短のが特徴です。
リョウブの谷あたりでスミレの花に混じってちょっと目立つサイズのお花があるとこれかもしれません。

 

<ミヤマガマズミ>

●花時期:5~6月
●樹高:2~4m(もっと大きくなるものもある)
清楚な白い花が集まって咲きます。秋になるとまっ赤に実が熟し、紅葉もきれいなので年中目を楽しませてくれる樹木です。ミヤマガマズミの実は食用になり、生食のほか、果実酒などに利用されます。木材は柔軟性があって折れにくいことから、柴や薪を結んだり、道具の柄やかんじきの材料に利用されるなど、里の暮らしに欠かせない樹木だったようです。
名前の由来は、鎌の柄に用いられたことから「ガマ(鎌)」、酸っぱい実をつけるので「ズミ(酸実)」との説や、山の中で見つけた甘い実は神様からの授かりもの「神の実」である、ということからなど諸説あります。昔から里人だけでなく、虫や鳥にもありがたい樹木であり、現代の芽ぶきの森に季節感をもたらす存在となっています。

 

<バイカイカリソウ>

●花時期:4~5月
●草丈:10~20㎝
森の下草で比較的明るい日陰と湿気を好み、夏の強い直射日光には弱い植物です。割と背が低く、目立ちにくい場所にいるので見つけづらいかもしれません。イカリソウと比べて全体にひと回り小さく、スペードの形に似た葉が印象的です。花はイカリソウ独特の尖った「錨(いかり)形」ではなく、梅の花(バイカ)のような可愛い形をしています。

 

 

<カスマグサ>

●花時期:4~5月
●草丈:低い(上ではなく横に広がる)
カラスノエンドウは皆さんよくご存じの赤紫の花ですが、近い仲間に白っぽい紫の小さい花が咲くスズメノエンドウという種類があります。カスマグサは「カラス」と「スズメ」の間、ということでこの名前がついています。カスマグサもカラスノエンドウに比べるとかなり小さく、花色も淡い青紫なので気を付けてみていないと見過ごしてしまいそうです。
やや乾燥した道端などに生育し、花時期や好む場所などはスズメノエンドウに似ています。混生していることも多いですが、大きさ以外に、カスマグサは上花びらに紫の筋模様があることや、実に毛がないことでも見分けられます。
5月頃になると、実ができ始めるので比べてみると面白いですよ。

 

<ウツギ>

●花時期:5~7月
●樹高:2~3m
幹や枝の中心に「髄」がなく、空洞になっていることから「空木(うつろぎ)」→ウツギと呼ばれるようになりました。別名ウノハナともいわれ、卯月(旧暦の4月)に開花する「ウヅキノハナ」から名付けられたといいます。湿度のある土手や崖など日当たりの良い場所を好みます。白いお花が円錐状に連なって咲きますが、実はアジサイ科です。暑さにも寒さにも強く、どんどん大きくなります。芽ぶきの森でもお花の位置は見上げる高さが多いかもしれません。
花の後にできる実は直径5㎜ほどのちょっと凹んだリンゴのようなお椀のような形で、硬くて緑色をしています。熟しても黄色程度で赤くはならないので目立たないかもしれませんが、秋にご来園の時にもう一度観察してみましょう。

 

 

<ソクシンラン>

●花時期:4~6月
●草丈:30~50㎝
ため池のあぜや山道の脇の草地など、日当たりのよい湿った場所を好みます。花が咲くと比較的背が高いのですが、花は米粒のように小さく茎に並んで稲穂のように付いていて、一見、種のようにも見えるので「花である」ことが分かりにくいかもしれません。よく見ると先でパッと開いたかわいいお花です。漢字では「束心蘭」、束(たば)になった葉の中心から花茎が出るランのような野草ということで名づけられましたが、ランの仲間ではありません。