中秋の名月の21日は台風通過後で夜にはお月様が見えるかも、という予報ではありますが、まだどうなるか・・・という状況です。「春は花、秋は月」を愛でる日本の文化や、季節感を自然から感じていた頃の風情を大事にしていきたいですね。

満月で中秋の名月を迎えるのは今年8年ぶりとのことで、正確には21日の夜より、21朝(明け方)のほうがより満月の瞬間に近いそうですよ。お出かけが早い方は起きた時に、お帰りが遅い方は帰り道に、少しお月さまを見る時間が取れるといいですね。

 

 

二十四節気

昔、暮らしと月はもっと密接な関係がありました。月の動きを基準に太陽の動きを加味して暦が作られ、その暦を元に農耕の段取りが決められていました。この太陰太陽暦を四季に分けて最終的に24分割したものが二十四節気です。元々は中国で成立したものなので、日本の今の季節感とは一か月ほどズレがあるとも言われますが、節気名で自然や農業がイメージできるような季節の指標となっています。

今年のお月見のすぐ後には「秋分」がありますが、昼と夜の長さがちょうど同じぐらいとなる頃です。このあたりを境に夜が長く、日暮れが早くなっていきます。

 

私たちの暮らしは昼間に太陽が出て、夜は月が交代で現れるのが当たり前ですが、太陽・地球・月はとても不思議で不可欠な関係にあります。
皆さんご存知のように、月が「見える」のは太陽が月を照らしているから。そして月に太陽光が反射するエリアが太陽・地球と月との位置によって変わって見えるから満ち欠けしているように見えています。本当は膨れたり削れたりはしていませんが、そう「見える」のですね。
小学校理科で「月の動き」を勉強する前に「お月様は何個ありますか?」とたずねると、その多様な姿を日々見ているからか、子ども達からは「1個」という答えばかりでなく、月は複数ある、という素直な答えも返ってきます(もう10年ほど前のお話なので、今の小学生はもっと情報通かもしれませんが)。

お月さまと地球の関係について見てみましょう。月は地球の衛星(地球を中心に周りを回っている)であることや、月と地球はお互いの引力で引っ張り合っていて一定の距離と動きを保っている、というのはご存知と思います。潮の満ち引きなどはよく月と地球の引力の例に出てくるお話ですね。
では月が地球に同じ面を向けながら回っていて裏側が見えない、というのも引力が影響しているというのはご存知でしょうか。月は真球ではなく歪みがあり、重心は地球に近い側に偏っていて重い方を地球側に向けて、引っ張られて安定しているような状態だそうです。

そして引力で安定した関係にあるとはいえ、地球と月の距離はずっと一定だったわけではないようです。大昔はもっと近かったものが少しずつ距離が広がっており、現在も年に約4㎝ずつ月が離れて行っている、と言われています。45億年前に月ができた時をシミュレーションすると、月は今より2万2500㎞ほど地球に近く、今のおよそ17倍も大きく見えたことになるそうです。
この月がどんどん離れて行ってしまったら、どんな影響があるのでしょう。

●月が遠ざかると、地球の自転が遅くなって、1日が24時間より長くなる。
●地軸の傾きが保てなくなり、今の気候環境や潮の満ち引きが変わる。
 ※地軸がわずかに傾きを変えるだけで、草原だったところが砂漠化したり、万年雪が溶けたりするかも?ということらしい。
●気候や環境が大変動することで、生命・生物層も現状を保てなくなる。

 

 

では、完全に地球から離れてしまったらどうなるのかというと、地球の自転は超高速回転となり、1日は今の1/3ほどになるらしいです。
地球環境は荒れ果て、砂嵐が吹き、隕石もぶつかってくるようになり、生物の大量絶滅という予想もあります。そうなったら、とちょっと恐ろしくなりますが、そこまで月が離れてしまうには数十億年とも、遠ざかるにつれて離れるスピードが落ちていくのでもっとかかる、とも言われています。さらには月がどこかに行ってしまうより太陽が赤色巨星となって寿命を終え、地球や月を飲み込むほうが先ということらしいです。(どちらも恐ろしい予測ですが、現代を生きる私たちの想像が及ばない未来のことのようですね)

こうなると、実感はないかもしれませんが「今日、今の月が私たちには一番近くにあって、一番大きく見えている」ということになりますね。
いつか離れて行ってしまう、自分の近くから無くなってしまうものに思いを重ねて月を見ると、なんだか感慨深く親しみを感じるものです。

昔から人は、月を待ち人のように心待ちにし、その光を大切にしていました。その様子は日付を数える月の名前からもうかがえます。

  ・1日 : 朔(さく)=新月 
        ※朔日と書いて「ついたち」とも読む
  ・2日 : 二日月
  ・3日 : 三日月
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        ・
  ・10日 :十日月
  ・11日 :十一夜
  ・12日 :十二夜
  ・13日 :十三夜  ここまでは日付順

  ・14日 :小望月/待宵月(こもちづき/まちよいづき)
       ※十五夜(望月)の前日で、「宵(日暮れ後、夜の入口)」を待つこと
  ・15日 :十五夜、望/望月(ぼう/もちづき)
       ※ほぼ満月で「満ちたりた様子」を望月といい、「満月に願い事」の「望」でもあります。
  ・16日 :十六夜(いざよい)
       ※十五夜より遅れた時刻に上がってくることから、昔の人は月が出るのをためらっている、とみていたようです。「いざよい」とはためらうことを意味しています。
  ・17日 :立待月(たちまちづき)
       ※月の出がさらに遅くなるので、まだかなぁ、と立ったまま待っているという様子。
  ・18日 :居待月(いまちづき)
       ※立って待ちづづけるには疲れるので座って待とう、という「居」の様子。
  ・19日 :寝待月(ねまちづき)
       ※月の出を待ちくたびれて、横になってしまった、という様子。
  ・20日 :更待月(ふけまちづき)
       ※すっかり夜が更けてしまわないと月が出ない様子。

  ・21日 :二十一夜  ここからまた日付順
        ・
        ・
        ・
  ・30日 :晦日(つごもり・みそか)
       ※月はすっかり隠れて見えなくなってしまうという様子。

 

昔の人の暮らしがどれだけ月と近くにあり、月を待ちわびていたのかが想像できますね。
みなさんが今、待ち遠しく思っているものは何ですか?
それを思い浮かべつつ、今宵はお月さまを見上げてみましょう。

 

けいはんな記念公園では、「観月の夕べ」イベントの開催に替えて「おうちで観月の夕べ(こちらから)」を公開しています。
よろしければこちらもご覧ください。

 

 


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