梅雨の時期は雨が多く外出を控えがちですが、6月から7月にかけては1年のうちで昆虫採集に適した時期のひとつです。
昆虫採集というと夏休みのイメージが強いですが、実は夏休み真っ只中の8月は暑すぎるので、昆虫の数や種類がぐっと減ってしまいます。
私も生き物が活発に動き出す5月になるとソワソワしはじめ、6月になると梅雨の晴れ間を狙って、よく野山へ出かけます。
虫を捕まえるために、その種類や場所によって様々な道具を使いますが、もっともよく使う道具は捕虫網(虫とり網)です。
今回は昆虫採集に欠かせない道具のひとつ、捕虫網とその使い方について少し詳しくご紹介します。
【網の種類】
ホームセンターなど身近な場所で比較的安価に手に入るものもありますが、網の目が粗く小さな虫はすりぬけてしまいます。
また柄や網が折れたり曲がったりしやすいので、やや消耗品的な使い方になります。
専門店やインターネットなどで取り扱いのある捕虫網は、フレーム・ネット・柄のセットで5000円~とやや高価ですが、丈夫で壊れにくいので長く使えます。
また、釣具屋などで取り扱いのある、磯たもの柄とフレームを流用し、ネットだけを昆虫採集用のものと取り換えることもあります。
これらは捕まえたい虫の種類や場所によって、ネットやフレーム、柄を付け替えて使用することもできます。
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ホームセンターなどで手に入る虫取り網。
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様々な捕虫網。目的によって網や柄の組み合わせを変えることができます。
【フレームの種類】
・スプリング式
薄い金属製のフレームで、小さくたたむことができます。軽くて扱いやすいですが、草むらなどを網ですくうとたわみます。
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たたむ前のスプリング式フレーム。
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8の字を書くようにフレームを曲げると、小さくたためます。
・四折枠
金属製のフレームで、四つ折りにたたむことができます。
スプリング式より頑丈で、草むらや木の枝などをすくうのに適しています。
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折りたたむ前の四折枠。
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4か所に可動域があり、四つ折りにすることができます。
【ネットの種類】
・ナイロンネット
網の目が細かく、小さな虫も逃さずに捕らえることができます。
また、生地が柔らかく虫の体や翅を傷めにくいので、チョウなどの採集に向いています。
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目の細かく、ひっつきむしが付きにくいものもある。
・メッシュネット
網の目が粗く、小さな虫がすり抜けてしまうことがありますが、風切りが良いので素早く網を振りぬくことができます。動きの速いトンボなどを採る時に使われることが多いです。
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目が粗く、風切りが良い。
【捕まえ方のコツ】
網の中に虫が入ったら、すかさず網をひねって虫を網の奥に閉じ込めましょう。
こうすることで、捕まえた虫が網の外に逃げ出してしまうことを防げます。
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虫が網に入ったら、手首をひねって網の奥に閉じ込めます。
花や草にとまっている虫を見つけて、網をかぶせるように捕まえた時は、網の奥をつまんで上に引き上げましょう。
虫は障害物に当たると上に移動するので、捕まえた虫が上に追いやられて網と地面のすき間から虫が逃げるのを防ぎます。
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虫が網の上に追いやられたら、下から手を入れて捕まえます。
何もいないように見える草むらにも、たくさんの虫が潜んでいます。こんな場所ではスイーピング法を試してみましょう。
草むらを移動しながら左右に網ですくうと、様々な種類の虫が網の中に入ります。
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網を左右に振りながら、草むらごとすくいます。
木の枝や葉にはコガネムシやハムシなどの甲虫がよく見られます。甲虫の仲間は驚くと脚を縮めて落下するものが多いので、
枝や葉の下に網を構えて揺すると、驚いて落ちてきた虫を捕まえることができます。
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枝や花に網を当て、下から叩いて虫を落とします。
他にもいろいろな採集・観察道具や捕まえ方のコツがありますので、それはまた機会にご紹介したいと思います。
※けいはんな記念公園の里山「芽ぶきの森」では、昆虫採集を楽しんでいただけますが、
採集にあたっては、・虫のすみかを壊さない ・必要以上に採りすぎない などのマナーを守ってお楽しみください。