今年は焼けつくような太陽が降り注いだ夏でした。
暑いと空を見上げる気も失せるかもしれませんが、案外夏の空は面白い様相を見せてくれます。
特に上空2㎞以上で発生する「積乱雲=入道雲」は、陽射しの角度や太陽の位置によって、生き物のような
誰かが中に居るような雰囲気があります。別名雷雲ともいいますが、入道雲が見えるのに雨も降らず
ひたすら暑い、という日も多かったように思います。
夏の空は躍動的で青空と雲とのコントラストも魅力的で、刻々と変化する空は見ていて退屈しません。
日中の空が青いのは、波長が短い青系の光が上空で拡散するから=地上に届く前に空気中の
水蒸気やチリにぶつかって散らばってしまうからだそうです。そして雲にはもともと色はなく、
水蒸気が集まった雲に太陽光が乱反射すると全ての色が散らばってしまうので白く見えていて、
厚みがある雲の下にいる人には、光が遮られるため灰色など黒っぽく見えます。
夕日・夕焼けが赤いのは、太陽が傾くと見ている人の地上までの距離が遠くなり、青い光が
届きにくいところに波長の長い赤系の色が主に見える状態になるからとされています。
昼間は「少しはかげって欲しい」と思う太陽も、傾いてくると西の空に神々しい光を放ち、幻想的な
光景を創ることがあります。
ほんのり色づき朱色に向かう手前が優しくていい、または最高に色づいた赤~臙脂の沈む直前が
情熱的で素敵・・・。いずれにせよ、一度として同じ夕焼け・同じ雲は出ません。そして日中は
下界の景色が主役ですが、夕焼けにバトンを渡したときから主役は空と雲に代わります。
それをどこで見ているかは結構重要だったりしますよね。
ちょうど曇りと晴れの境目にあって夕焼け時刻を迎えると「明と暗」に色分けされた雲の不思議な
光景に出会うことがあります。または、雨上がりの何とも言えない黄金の雲が見られる瞬間に
出会うことも。
どういった夕焼けが自分の琴線に触れるのか、どんな雲や景色との協演を美しいと思うか、それは
色あいなのか光りの差し方なのか、何に心惹かれるのか、「今日の夕焼けはきれいだなぁ」と思った時に、
考えてみるのも面白いと思います。
太陽は自然のなかにあって自然には最大の演出者かもしれません。燦々と注ぐ陽の光も、
昇り始めた朝日や傾いた夕暮れの暖かい光も、薄雲を通ってきた柔らかな光も、自然物をより一層
魅力的に演出します。雨もある意味演出で晴天にはない魅力ですが、これとは対照的な方法で
その魅力を引きあげてくれる要素ではないでしょうか。
ちょっと季節外れな写真もありますが・・・
空と雲と太陽と、そして自然界のいきものたち。
切っても切れない関係が、景色だけでなくその生命にも宿っていることを実感します。これからの
季節の変わり目、ちょっと立ち止まって空とそこにつながる風景や生き物をご覧になってください。