公園が大事にしている要素に「文化」があります。公園のイベントの中にも文化的色合いの強いものがたくさんあります。代表的なものは日本の行事に関わるイベントでしょうか。

年が明けて1~3月は1/7の人日の節句、2/3の節分(今年は2/2だそうです)、3/3桃の節句と続きます。節分は五節句には含まれませんが、春への季節の変り目であり、昔は新年に相当した大きな節目です。

今年は緊急事態宣言の発令で、節分イベントも残念ながら中止になってしまいました。今年のイベントの様子と共に節分の昔話をご紹介するつもりでしたが、今回は過去の節分イベントの画像を使って、イベントの中身にも触れてみます。

さて、節分の二大要素といえば豆と鬼。豆をまいて鬼を追い払い、福を呼び込むというイメージは全国広く知られていると思います。それに関係した昔話はたくさんあるのですが、登場する鬼はただ怖いだけの存在というわけでもありません。節分にまつわるお話の中、私が最も好きなお話をご紹介します。

※記憶にたよった記述であり、不正確かもしれません。ご了承ください。

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昔、あるところにお爺さんが一人寂しく暮らしていました。

お爺さんは家族に先立たれ、自分もいつお迎えが来てくれるかと考える毎日でした。

節分の夜、村のあちこちでは楽しそうに豆まきをする声が聞こえてきます。

お爺さんは小さな息子とともに豆まきをした日のことを思い出し、しまってあった鬼のお面と豆の残りをひっぱりだします。

 

 

折り紙で作る鬼のお面と豆のふるまい・・・

例年恒例で実施している内容です。
折り紙で作った鬼は表情もそれぞれで愛嬌があります

 

 

独り身のつらさがいっそう増して、やけになったお爺さんは「鬼は内!福は外!」と逆の掛け声で豆まきをします。

豆をまき終わったころ、「鬼は内と呼んでくれた家はここか」と鬼が戸を叩きます。

戸をあけてみると村中から追いやられた鬼たちがわらわらと入ってきました。

 

 

鬼の登場・・・

鬼がイベント会場に乱入した年もありました。
こども達がややひるんでいますが、鬼も間合いをはかっているような…。

 

 

 

 

 

 

豆をくらった鬼・・・

曰く、「かなり痛かった」

 

 

 

久しぶりににぎやかになってうれしくなったお爺さんは、火をたいて鬼たちをもてなします。

鬼たちは「毎年寒空の中追い立てられるのに、今年は温かく過ごせる」と喜び、

お爺さんに望みはないかと尋ねます。

お爺さんは「別に望みはないが甘酒でもあればみんなで飲めたのにな」といいます。

すると鬼たちは「引き受けた!」と出て行ったかと思うとたくさんのごちそうや甘酒を持って帰ってきます。

お爺さんは鬼たちと久しぶりの楽しい時間を過ごすことができました。

そして来年もまたくるから と鬼たちは帰っていきます。

そして春になって、おじいさんは家族のお墓に

「おら、もう少し長生きることにした。来年の節分も鬼たちを呼ぶと約束したでな」と報告するのでした。

 

 

 

こども達の作品・・・

鬼も福も楽しそうです。

 

 

 

 

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基本的に鬼は悪いもので、多くのお話では恐怖や災いをもたらしますが、人情味のあるお話も少なくありません。

おじいさんと鬼のやりとりがほほえましく、また、おじいさんの心の変化ももたらす素敵な昔話として心に残っています。

さて、公園で追われた鬼はどこへにげていくことやら。


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