5月になると暦の上では夏がはじまります。
この頃は、古くから日本の季節の区切りとされている二十四節気の立夏(りっか)にあたります。
二十四節気の多くはその時期の気候や生き物の様子を反映しており、立夏では蛙始めて鳴く(かわずはじめてなく)、蚯蚓出る(みみずいずる)、竹笋生ず(たけのこしょうず)と移り変わります。
各地で田植えの準備がはじまり、公園の田畑もこの頃に目まぐるしく景色が変化します。
公園の田植えは例年6月の上旬で、カエルの声を聴きながらレンゲを田んぼに漉き込み田んぼに水をためる準備を行います。
田んぼに水をためるには、畔切りをしてしっかりとした畔(あぜ)を作らなくてはなりません。
これがなかなか大変で、古い畔をシャベルで切り崩して水を加えて練り、新しい畔を塗り付けてからようやく田んぼに水が張られます。
この時、切り崩した土をよく見ると、普段はあまり目にしない生き物に出会うことがあります。
代表的なものはケラで、「手のひらを太陽に」に歌われるようなかつては身近だった昆虫ですが、
本物の姿を見たことがある人は少ないのではないでしょうか?
最近ではめっきり数を減らしており、京都府をはじめとし絶滅危惧種に指定されている場所もあります。
土の中でくらすため、シャベルのような前脚をつかって器用に穴を掘り、
オスは翅(はね)をこすり合わせて地中で「ジー…」と鳴くため、昔は蚯蚓(みみず)が鳴いているものと思われていました。
※実際には、ミミズは発音しません
体内で高温のガスを生成し、危険が迫ると的に吹きかけることで有名なミイデラゴミムシも畔切の際に見つかる昆虫の一つです。
雨後の筍がすっかり青竹に変わる頃には公園の田んぼにも水が張られ、いよいよ田植えの季節を迎えます。