6月上旬、公園の田んぼは田植えの時期を迎えます。田植えの1週間ほど前から水が張られます。田んぼに水が入った途端、そこはたくさんの小さな生き物たちであふれ、どこからやってきたのかと驚かされることもしばしばです。

田んぼに水が入っただけで、急激に生き物が現れる理由はいくつかあります。

ひとつは、水がはいるまでじっと卵や種で待っていること。

もうひとつは自力で水辺をみつけてやってくることです。

 

田んぼの中をちょろちょろと泳ぎ回るホウネンエビやカイエビは、厚い殻に包まれた「耐久卵」という卵を産むことができます。

耐久卵は乾燥に強く、秋以降に水が無くなった田んぼでも干からびずに生き残り、春に田んぼに水が入るとそれがきかっけとなり一斉に孵化します。これは時期によって水があったりなかったりする田んぼで暮らすのにとても有利な戦略です。

ホウネンエビ

カイエビ

 

水面をおよぐヒメアメンボや水中にくらすガムシの仲間(マメガムシ)の成虫は、翅をもっていて自由に飛ぶことができます。

空を飛びながら、光の反射する水面をみつけるとそこに降り立ち水辺でくらします。

ヒメアメンボはアメンボの中でも特に田んぼによく見られ、水を張ったとたんにどこからともなくやってきます。

マメガムシ

ヒメアメンボ

ここで紹介した生き物の他にも、田んぼにはカエルやトンボなど様々な生き物が見られます。イネの生育段階によって、現れる生き物が違ってくるので、毎月観察するのも面白いです。公園の田んぼの生き物は捕まえることができませんが、畔を踏まないようにそっと探してみてください。

ビジターセンターの地階には、ここで紹介した生き物の生態を展示した田んぼの水槽も新設しました。普段なかなか見ることのできない、ミミズが穴を掘り、土を耕す様子や小さなミジンコなども観察できます。こちらも併せてご覧ください。

ビジターセンター地階の田んぼ水槽

 

 


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