7月は梅雨が終わり本格的な夏が始まる端境期。

梅雨明けを迎え、依然として猛暑が続きますが

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

今回は、過去に撮影した公園の写真から「7月」を振り返ります。

それぞれの写真には、カルタのような要領で「丸枠+漢字一文字」を施してみました。

それでは見てみましょう。

 

◉7月3日 お題:【幹】

アカマツのうつくしい幹肌。磨かれた幹が濡れることで、より鮮やかに。

幹を擦って樹皮をはがすことで、綺麗な樹肌を魅せると同時に害虫予防の効果をもたらします。

 

◉7月3日 お題:【菌】

雨続く蒸し暑い森では、様々なキノコに出会えます。

梅雨のころに生ずるいろいろなキノコの総称として「梅雨茸(つゆたけ)」という言葉がありますね。

この時期のキノコの多くは有毒で、食用にならないものが多いそうです。

 

◉7月8日 お題:【緩】

早朝、花ひらく直前のカワラナデシコ。

固く閉じた花弁が徐々に緩んでいく様子をじっと見つめて…。

 

◉7月9日 お題:【上】

上がったのは雨。雨は「夕立」ではなく「夏の雨」でした。

アオモンイトトンボは、雨雫のこる葉の上で翅を乾かしているのでしょうか。

 

◉7月9日 お題:【梗】

「涼」を感じさせる桔梗色(キキョウイロ)は伝統色のひとつ。

桔梗の「桔」には “まっすぐ”、「梗」には “芯の固い枝”の意が含まれます。

 

◉7月10日 お題:【灌】

紅葉谷での灌水。乾燥はモミジの葉焼けや落葉につながります。

木々の隙間から一筋の水が吹き上がる様は「夏の風情」といったところでしょうか。

 

◉7月12日 お題:【黒】

「蜻蛉(とんぼ)生まる」の季節、水辺ではハグロトンボを見かけます。

翅はビロードのような艶を併せ持つ「黒褐色」に、ふらふらと飛翔する姿はなんとも優雅です。

 

◉7月15日 お題:【脈】

アブラゼミの羽化にて。

ゆっくりと翅脈に送られる体液。まさに脈打つ生命の力。

翅が固まる間までの僅か、神秘的な瞬間です。

 

◉7月16日 お題:【青】

トマトに充てられた蕃茄の「蕃」の意 “しげる・ふえる”と迷いましたが、ここでは「青」を。

充分に熟していない青いトマトからは、まだまだこれから…といった一種の安心感とともに

実りを待つ期待感をおぼえます。

 

◉7月20日 お題:【沈】

沈んだのは太陽。水中に、ではなく山の向こうへと沈みました。

「夕焼け」としたいところですが、空は茜色に。

ちなみに、7月23日の誕生色は茜色、とのこと。

 

◉7月22日 お題:【傘】

日傘越しに見る蜻蛉の影。

薄い布地でつくられた日傘ならではの出会いとなりました。

 

◉7月24日 お題:【茎】

地下茎を伸ばして繁殖するミョウガ(茗荷)。

草をかき分けると、「茗荷の子」が花を咲かせていました。

 

◉7月25日 お題:【幼】

ニホントカゲの幼体。その若さの証は、尾っぽの光沢ブルーに。

成長するにつれてその色は失われていきます。

 

◉7月25日 お題:【殻】

青田で見つけたバッタの抜け殻。透明の殻には清涼感が宿ります。

それにしても…、脚の先まできれいに脱いでいますね。

 

◉7月26日 お題:【干】

里棚田にて。

稲の生育をよくするための作業「中干し」の間、田の水を落とします。

ただし、乾きすぎは禁物。適度な塩梅が求められます。

 

◉7月26日 お題:【盤】

水景棚にて。棚田状の水盤が永谷池と下の池を水の景色として繋ぎます。

夕方には滝水が止まり、水面が落ち着きます。かつては、両方の池を区切る「ため池の畔」でした。

 

◉7月26日 お題:【簾】

日を遮りながら、風を通す「夏暖簾」は、事務所の受付から見た風景。

座って眺めて感じ入る…、 軒(のき)の心地よさ。

 

◉7月26日 お題:【蝶】

蜻蛉(トンボ)なのに蝶(チョウ)。

光の加減によってキラキラと美しいチョウトンボ。こちらは、前翅先端に濃色がある個体。

ここ数年、永谷池の同じ場所で見かけることが出来ます。

 

◉7月27日 お題:【収】

収穫した新鮮な野菜に目がいきますが、ここではそれらを収める籠(かご)に注目。

夏に籠れば夏籠(げごもり)に、冬菜を入れれば冬菜籠(ふゆなかご)に…。

 

◉7月28日 お題:【向】

向日葵(ヒマワリ)はどこを向く?花壇のヒマワリは、太陽が照る南を向いているようです。

位置関係から、園路からみるとそっぽを向いているように見えるのですがね。

 

◉7月29日 お題:【積】

むくむくと成長する雄大積雲はまさに夏の景色。

立派な「雲の峰」になるまでには、もう少し先になるでしょうか。

 

◉7月30日 お題:【湿】

幼虫が生存するには湿気を含む土壌が必要とされるニイニイゼミ。

雨上がりの湿ったヤマザクラの幹にて出会いました。見かけることが少ないので、チョット嬉しかった。

ところで、『閑さや 岩にしみ入る 蝉の声』の主は、ニイニイゼミだとか?

 

◉7月30日 お題:【透】

2枚の重なりをもてしてもなお、向うが透けてみえるセミの翅。

クマゼミの翅の表面にある微細な突起による抗菌構造、いわゆる

バイオミメティクス(生物模写)に係る研究もあるようです。

 

◉7月31日 お題:【紅】

建物内から垣間見る、サルスベリの花。深紅の花が群がり咲いています。

背が高く、ここからは仰ぎ見るしかできません。

花期が長いことから百日紅(ひゃくじつこう)の名も。

 

◉7月31日 お題:【採】

私にとって「夏休みの昆虫採集」を象徴的する存在であるカブトムシ。

子どもの時分、憧れるだけで鷲掴みで採るような経験はありませんでした。

この時期になると、大人になった今でもカブトムシを探してしまいます。

 

◉7月31日 お題:【池】

蓮(ハス)といえば「池」。

水景園では蓮池(れんち)とはいきませんが、ハスのために四方を区切って

水深を調整した桝を設けています。

 

◉7月31日 お題:【雷】

遠くで鳴り響くのは「遠雷」。

放出されたエネルギーは、電気抵抗が最小になるルートを通るはず?

で、見え残るのはその軌跡。

しばらくすると、風で運ばれてきた雨の匂いが漂ってきます。

 

以上、27枚の写真にコメントを寄せる形で7月を振り返ってみました。

 

このように漢字一文字で表してみると、文字と写真が直接的・間接的に結びつくことで

テーマや季節感が際立ったようで、撮影した当時の記憶が鮮やかによみがえりました。

 

ライフワークとして、この調子で8月、9月…と振り返りを続けていくのもよさそうです。


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