この数年、夏休みに開催している『おもちゃ箱がひっくりかえった! ムシムシ工作大集合!』の工作作品展。今年も開催時期がやってきました。

図画工作というと「大好き」「苦手・・・」と両極に分かれるのではないでしょうか。
作品展示の会場には、次のようなメッセージを掲出しています。

******************************************************************

大人のみなさんがこどものころ、そして今、こどもさんにとって工作はワクワクする「あそび」ではありませんか?うまくできるかどうかではなく、ただただ「つくる」ことが楽しい、そういうことってありますよね。

市販のおもちゃやキットの工作にはない、自由に工作することの「よろこび」は、材料が形になり「もの」(今回はムシ)になる、自分が生みだすことの「おもしろさ」だと思います。何となく手の中で触っていると面白い形になったり、面白い組み合わせを思いついたりと、「みたりさわったり」することで、おもしろさやアイデアはどんどん多くの人に広がります。今回の作品展は、そんな楽しい「つながり」をここからはじめていただきたくて、公園でたくさん出会える「ムシ」をテーマに開催しています。

 

生きた虫が苦手な方も、おもちゃの虫は楽しいですし、想像の世界の虫を創り出すことは親子で楽しめる遊びです。だからこそ、この展覧会では自由に動かしたり触ったり、形や場所を変えたりと、展示に参加いただくことを大事にしています。ご来場の皆さんは普段分別して捨ててしまうものから出来た虫たちから、「何でも虫になれる」「何でも工作の材料になる」ということを感じていただいているようです。特別な材料がなくても、身近にある「何気ない」ものから、おどろくような楽しいアートが生まれます。そんな夢中になれる「時間」と「空間」を子どもたちと一緒になってお楽しみいただけたらと思います。

******************************************************************

チラシの裏面に  ”みんなの「作りたい!」の気持ちをつくりたい!”   と記載していますが、本展の目的の全てはここに集約されています。

まずは触ってみて、遊んでみて、自分の形に変化したらそれが面白くて他のものも、となる。
会場にはムシ以外のものもたくさん集まっています。「こうでなくっちゃ」というのがなく、自由にムシとその仲間たちと遊んでいただく、つくりたくなっていただく空間です。

<2021展示より>

(ムシカードはクリックで拡大できます。)

 

工作することは「作る」だけでなく、発想を柔らかくすることにも一役買っています。
作ったものが何に見えるか、どんな生き物・ムシだったら面白いか、自分の創った”新種”を何と名付けようか・・・。といった連想や言葉遊びをしながら親子・兄弟で楽しめるものではないでしょうか。
こどもの頃、兄弟で「これは○○の家、これはそこに遊びに来た○○」などと話しながら絵を描いたり、牛乳パックで工作したり、という記憶は皆様にもあるのでは。

<2022展示より>

 

2年目の昨年はボリュームアップしただけでなく、そのムシたちはどんなところにいるだろう、そこには他にどんな生き物がいるだろう、そこはどんな世界だろう、といった、連想がさらに広がる展示になりました。
一つ作ればそれをきっかけに、他のものや周りの世界に想像を広げていくことができるのも図画工作の魅力です。

今年はというと、現在作家さん達が設営の真っ最中。 「つくる側も毎年発想が広がるし、バージョンアップする」とのこと。

夜行性の虫たち、UVライトで光ります

こうやって遊んでもらえるのでは、こんな動かし方できるぞ、これ去年はなかった発想・・・。遊びに来てくれるこども達のことを思いながら、作家さんは昨年の展示が終わった時から次の作品を作り始めてくださっています。

使い終わったものや、使い道が無くなったもの、壊れたものでも、ちょっとした工夫でちょうど良い材料になることもあります。

また、公園では自由な発想や遊びから生まれた作品を見ていただく機会も作りたい、ということで昨年からこども作品・親子作品の展示を行っています。
ムシムシ工作大集合でもワークショップを開催して「つくる機会」にしていただいていますが、夏休みや日常のなかでつくられた作品を含めて自由にご出品いただけます。「初めて何かを保護者と一緒につくったよ」「成長の軌跡をこんな形にしてみたよ」といった、こどもさんの足あとやものづくりを楽しんだ成果をご覧いただく機会にできたらという企画で、今年も実施予定です。

こどもの作品には成功や失敗はなく、どれだけ自由なイメージと感覚で創造したか、新しい発見や体験をしたか、の結果が作品です。幼少期は創造力をはぐくむのにとても大事な時期で、自由に遊び自由につくることが「自分で工夫する力」を育てると言います。アーティストを目指していなくても、アイデアや発想・方法をたくさん持っていることは、それだけで豊かになれます。

年齢を問わず、今までにないものを創り出すこと、イメージしたものを形につくることはとても楽しい時間です。そして、つくったものを見てもらう機会があると、達成感や次への意欲が大きくなることは、こどもも大人も同じではないでしょうか。

 

作品展をご覧になった方も、つくられた方も、大人もこどもも、「つくるって楽しい!」という思いが連鎖して、より沢山の方にお楽しみいただけることを願っております。

 


< 過去の記事 公園よろず手帖 トップ 新しい記事 >