先日、ギャラリーで開催していた『写真家による二人展』。そのうちの御一方が 水面に映る景色をテーマに出品されていました。 その「うつしよ -現世・映し世・写し世- 」と表現された素晴らしい作品たちに触発されて・・・
今回は、公園で見つけた「水鏡(みずかがみ)」の景色を紹介します。
▲公園と写真家でつくるグループ展。定期開催を予定しており、次回の参加者を募集している。
*水鏡について
鏡のように水面に姿や物が映って見えることを意味します。 昔の人々は、鏡が誕生するまで水たまりや鉢に水を溜めた「水鏡」で姿を映していたといわれています。
また、写真の世界では、水面やガラスに映った景色を鏡に映すことによって シンメトリーな世界を演出する撮り方を水鏡撮影あるいはリフレクション撮影と表現しています。
さて、私がこれまでに公園で撮影した写真の中から「水鏡」を探してみたところ・・・ たくさん見つかりました。水鏡の景色を「撮りたい景色」として意識していた事が分かりますよね。 更に、撮影場所について、ある一定のポイントに集中していることにも気付きました。
ということで、私なりの「公園で水鏡が楽しめる場所」を撮影枚数の多寡によるランキング形式で まとめてみました。
🏆第8位 ~手水鉢~
実用ではなく観賞用として水景園入口に鎮座する手水鉢での水鏡。もう一つは裏庭の石材置き場にて。
▲夏の朝、清々しい青空が映る。奥ではスタッフが路地に打ち水をする開園前の風景も。
▲石材置き場は竹林に囲まれた場所に…。
🏆第7位 ~永谷池~
公園で最もひろい水面を有する永谷池は、もともとこの土地にあった溜池。 穏やかな水面には空がよく映り込みます。
▲複数の飛行機雲が更なる奥行きを演出…
▲倒景の見え方は複雑。水面に映る夕焼け空は二つに分かれています。
🏆第6位 ~里棚田~
田んぼの水鏡。楽しめる時期は意外と短く、稲が十分に生育するまでの期間に限られています。
▲うろこ雲が出ているので天気は下り坂。稲にとっては望ましい?
▲早朝の水鏡。水はまだ冷たそう。対岸の観月橋が映り込む。
🏆第5位 ~下の池~
下の池には観月橋が架かっていますので、橋の上から、あるいは橋自体が映り込む景色が見所です。
▲ゆらぐ水鏡。風が強いことが窺える。
▲橋から見下ろす水鏡。雲行きを確認しようと空ではなく池を眺める。
▲橋脚も見どころのひとつ。遠近法を思い出す景色。
🏆第4位 ~じゃぶじゃぶ池~
半月の形をしたじゃぶじゃぶ池での水鏡は、太陽が沈む時間帯がベストかもしれません。
▲サクラの開花時期。かすむ太陽と静かな水鏡は日中の余韻を感じさせる。
▲茶畑風に仕立てたツツジと巡回車。人工物の映り込みも素敵。
▲天気の急変。暗さも不安も倍増するかのよう。
🏆第3位 ~小川~
公園を西から東に横断する小川に映り込む水鏡は、色々な場所で、歩きながら楽しむことができます。
▲梅咲く「谷あい」での水鏡。早朝は水が落ち着いている。
▲よく見かける植え込みも、水鏡で見ればいつもと違う?
▲夕暮れ時の微妙な空色の変化が、水鏡に見事に映り込んでいる。
🏆第2位 ~水景棚~
永谷池と下の池との間の堤体を階段状の水面でつなぐ水景棚。段差がもたらす水鏡は必見です。
▲沢飛び石と水鏡。景色に見惚れて踏み外さないように…。
▲周囲の景色を映り込ませることで連続性を演出する水盤の役割。
▲水鏡で見出す「動」と「静」。
▲水景棚の水鏡は開放感にあふれている。
🏆第1位🏆 ~紅葉谷~
水鏡を最も多く撮影した場所は紅葉谷でした。とくに、秋の紅葉時期に撮影枚数を稼いだようです。
▲「紅葉谷の空」を見下ろす…
▲紅葉したモミジがゆらぐ景色
▲葉っぱの落し主が映り込んでいる。
▲新緑の季節。青モミジの水鏡も素敵。
▲ライトアップ時は言わずもがな…。
*その他
枚数は少ないけれど、印象的な水鏡の景色を集めました。
~水溜まり~
期間限定の水面に映る景色を見逃しません!!
▲公園らしい水鏡の景色。
▲花見となれば、早く乾いてほしい水鏡。
▲夕立ち後の夕焼けならでは。空より赤い水鏡。
~被写体の背景として~
重なりの景色。撮影者の意識は背景の水鏡に向けられています。
▲シュウメイギク
▲ライトアップ時のツワブキ。同系色を狙って。
▲青モミジ。こちらも同系色を狙って。
▲里棚田のハンゲショウ。白とピンクのコントラストを狙って。
~ハス~
水鏡をとおしてみるハス。水鏡との相性はやはり抜群ですね。
~コイ~
錦鯉の赤色と空の青色。こちらも相性は良さそうです。
~番外~
この場合も水鏡といえるでしょうか?
▲緑の中をニホントカゲが歩く…。
*さいごに
公園におけるさまざまな場所、シチュエーションでの水鏡、如何でしたか?
屋内、屋外に関わらず、「鏡」には景色に奥行きをもたらし、見る者に広さを感じさせる 視覚効果があります。 この鏡の効果を「水」という自然物を介して味わうことに喜びを感じ、豊かな気持ちになれるのは 私たちの中にある遠い昔の記憶が関係しているのかも知れませんね。
これからも日常にある「映し世」を見つけ出し、楽しんでいきたいと思います。