今回は、水景園内の田んぼに暮らすちょっとレアな生きもの「イチョウウキゴケ」を紹介します。
イチョウウキゴケは、水面をプカプカ漂う浮遊性のコケ植物です。名前の通り、成長するとイチョウの葉っぱのような形をしています。
実はこのコケ、除草剤や農薬に弱いため、現代の田んぼからは姿を消しつつある植物の一つです。環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」、京都府のレッドデータブック2026でも「要注目種」に指定されている、貴重な存在なんです。
そんなイチョウウキゴケが、水景園の田んぼでひっそり暮らしていることを一昨年知りました。水景園の田んぼでは、生きものたちが安心して暮らせるように「農薬を使わない管理」をこれまでずっとおこなっています。手作業での草引きなど、とても手間暇がかかるのですが、その実直な優しさがイチョウウキゴケを守ってきたのでしょう。
とはいえ、お馴染みのウキクサ(小さくて丸いペタッとした緑の水草です)に紛れて今にも負けてしまいそうな状態……。
そこで、「ウキクサのいない水槽で、まずは数を増やしてみよう!」と見守ることにしました。名付けて、『増えたイチョウウキゴケを田んぼに戻そう作戦』です!
4月、水槽を覗いてみると……?
昨年はあまり増えず、実はしばらくほったらかしにしていたのですが、今年4月に久しぶりに水槽を覗いてみたら……
めちゃくちゃ増えていました!(ほったらかしでも、立派な保全活動です!)

見てください、この姿。まだ小さくて、なんだか「緑色のおしり」みたいな形をしていて可愛いですよね。
それから1か月半後。

さらに成長し、ついにトレードマークである「イチョウの形」になってきました!
顕微鏡で大解剖!本当にイチョウウキゴケ?
せっかくなので、顕微鏡を使ってじっくり観察してみることにしました。

みずみずしい黄緑色で、やや厚みがあります。スポンジのような空洞(気室)がたくさんあるおかげで、水に浮くことができるそうです。

図鑑には「葉状体は長さ1~1.5㎝、幅4~8mm、二又状に分枝する」とありますが、大きさも形もまさにピッタリ!
さらに、ひっくり返して根っこのようにつく「腹鱗片(ふくりんぺん)」も見てみます。
図鑑いわく、「紫色、長いリボン状で縁に微鋸歯(細かいギザギザ)がある」とのことですが……

顕微鏡で見ると、ペラペラと透き通った紫色のリボンに、肉眼では見えないギザギザを発見!これはイチョウウキゴケで間違いなさそうですね!
いざ、故郷の田んぼへ!
十分に育ったイチョウウキゴケたちを、田んぼへ放流しました。

田んぼはちょうど代かき(しろかき)の時期。
水を入れ始めたばかりで、ライバルのウキクサがまだ少ない今が、絶好のタイミングかもしれません。

もし水景園に来られたら、ぜひ田んぼをそっと覗いてみてください。小さなミニイチョウたちがプカプカ浮いている姿が見られるかもしれません。
いつか田んぼ一面にびっしり増えて、大ニュースになる日が来るかも⁉