けいはんな記念公園

花と鼻の昔話

いっきに春めいた日が増えました。
暖かいのはありがたいものの、花が咲く時期が狂わないかと心配にもなってしまいます。

昨年と一昨年で広場のサクラをかなりの数で伐採し、新たに植栽しました。

もともとの土地の性質上、粘土質な土壌が多いためにあまり根を張れず、大きくなれないままだった木があったことに加え、公園設立から30年を超えてソメイヨシノの樹齢が高くなり衰退が進んできたためです。

新たに植えられた木が十分な花をつけるまで、相応の時間がかかってしまいますが、長い目で生長を見守っていただければと思います。

さて、植えられた木にはこんな支柱がついています。

新しく植えられたサクラを支える二脚鳥居支柱

二脚鳥居支柱と呼ばれるもので、街路樹などにもよく施されています。
みたことがある方は多いのではないでしょうか。
植えて間もない木が十分に根を張るまで、倒れない様に支えるものです。

公園内をみると、ところどころで木を支えたり引っ張ったりしているものがみられます。

ウメの支柱。横に出た枝が重くなり、古くもなっているので支えている。
スモモの枝を引っ張って枝ぶりを調整

倒れないように、枝が折れないように、あるいは樹形を整えるため、いろんな形で手が加えられています。
一見頑丈そうな木も、力が加わり続けるとそれにあわせて形が変わります。

さて、今日はそんな性質を利用した欲深な長者の昔話をご紹介しましょう。

※記憶に頼った記述のため、不正確な内容が含まれることをご了承ください。

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昔々あるところに、長者と貧乏な夫婦が垣根を挟んで隣り合わせで住んでいました。

長者は貧乏人夫婦をいつも見下していました。
それに加えて強欲で、垣根を越えて敷地に入ったものはすべて自分の物と言い、夫婦の家から飛んだりして垣根を越えてしまったものは、たとえ長者にとって価値のないものでも返さないのでした。

貧乏な夫婦の家には立派なサクラの木が植わっており、春には見事な花をつけるのでした。
夫婦にとっては、花見をしながら年に一度の酒を呑むのがなによりの楽しみでした。

広場のサクラ 右側のサクラは比較的元気で、花にも勢いがあります

あるころから、このサクラの木が長者の家の方へ傾き始めました。

その傾きは徐々に強くなっていき、やがて垣根を越えて長者の家の方に大きな枝を伸ばすようになりました。

ある夜、夫が夜にふと目を覚まして庭にでたところ、サクラの木の枝に縄が掛けられ、長者の家の方へ引っ張られているのを見つけました。

モミジを引っ張って後ろのマツとぶつからないよう矯正しています。
私利私欲のためではございません。

長者が夜な夜なサクラの枝を自分の家の方へ引っ張って、サクラを曲げていたのでした。
サクラの傾きが長者の仕業だと知った夫婦は腹を立てますが、相手が長者のこととあって何も言えずにおりました。

春になって見事に花をつけたサクラの下で、長者は花見客をいれて毎日宴会を開きました。
そして花見客からはお金とっているのでした。

我慢ならなくなった夫は長者に、「うちのサクラで金儲けをするのはやめてくれ」と申し入れますが、長者は垣根を越えた花をどうしようがうちの勝手だという意味の詩を読んで宴を盛り上げ、夫に屈辱を味わわせました。


どうにも腹の虫が収まらない夫婦は仕返しを考えます。

ある日の事、夫婦の家の方から何とも賑やかな音が聞こえてきます。長者は何事かと覗こうとしましたが、垣根でよく見えません。
そこで長者は垣根の隙間から頭をつっこみ、隣の家の様子を伺いました。
もう少しもう少しと顔を出し垣根を越えた時、待ち構えていた夫が長者の鼻をヤットコでおもいっきり挟みました。

垣根越しに顔が出るのを待ち構える
(イメージ)

夫は長者の鼻を挟んだまま、こんな詩を知っていなさるかと、長者が前に詠んだ詩を語ります。
花と鼻とをかけて、垣根を超えた鼻はどうしようがうちの勝手だと伝えたのでした。

この一件に懲りた長者はサクラの枝を押して元に戻るようにしました。
サクラの木がまっすぐに戻るころ、曲がってしまった長者の鼻も元に戻ったということです。

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大きな木になるほど、枝の向きを変えるのにはかなりの年月がかかるはずです。
鼻が戻るのにどれほどの時間がかかったのか・・・。
少し心配になる所もありますが、自分の欲深で横暴なふるまいのつけが回ってしまったお話でした。